
退会済のユーザー さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
少年漫画の最終回を始めて経験できた思い出深い作品
当時、私が見ていた色んなアニメは、いわゆる現在進行形のところで、終わりが全く見えなかった。
なので、アニメのエンディングを見ることができたのは、とても新鮮だった。
余分な伏線のないすっきりとした、奥の深い終わり方だ。
登場人物にそれぞれの魅力があり、多種多様な部分が面白い。
そして、一人一人にしっかりと「道」が続き、その先をもっと見てみたいと思うようになる。
父や、兄弟の葛藤を描きながら、錬金術がもたらす希望と絶望が回転軸となり、等価交換、人間の尊厳、 生命倫理、死生観といった様々な事柄に作者の観念を織り交ぜながら、芸術的に集約されている。
その裏には、喪失と再生といった本質的なテーマが外面的、内面的に作品全体に流れている。
あの主人公の最後の大錬成。
主人公は様々な出会いと別れを経験したからこそ、自身に不要なものがあることに気づき、そこから兄弟は新たな法則へと発想を転換することができた。
亡き母を想うがゆえ、人体錬成を行い、全てを失った幼い兄弟の話。
研究成果に固執する父親によって、愛犬と共に合成獣にされてしまった少女の話。
私は物語に強く引き込まれた。
それらの錬金術が生み出す悲劇は、エルリック兄弟を突き動かす信念の基盤となり、また消えることのない心の傷となる。
恐らく、その序盤の話がこの作品のなかで最も重要な部分だ。
今、遺伝子工学やクローン技術が発展し、一つの操作で生命を作り出すことができる。
この作品は最新技術の倫理性や、その欲望から発生する人災を危惧した作品である、と私は思う。