鰺鱒 さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
足りない。たりない。もっと欲しい。
原作知らず。
ここ(あにこれ)でレビューをお見かけし、その評判が良いためGW視聴を決意。気合い入れずに気楽に視聴をとのアドバイス(える908さん)に素直に従って、午後のお茶タイムに一話を観、、、、最後まで止まりませんでした。最後まで観てしまったことが悲しくて、ほぼ全話を観かえしした状態です。
なにこれ素敵。いやもう素敵。とにかく素敵。
全てにおいて、控えめ、抑えめ、おとなしめに作られた、優しさと穏やかさに満ちあふれた作品と思いました。この雰囲気に接しているだけでなんか幸せになれる。
(マンドレイク。。。あいだけでねかな、ちごたの)
人物デザインは大変好ましく、また、作画は丁寧で手抜きもなく、始終安定していたと思います。前景も背景もコントラストを抑え気味の、見ていて落ち着くものでした。背景が、特に青森の風景はとても綺麗に思います。OPの最初のカットやおいわきやま、綺麗。弘前城、また行きたいな。
主人公、木幡真琴は高校一年生の新米魔女。魔女のしきたりに従い、独り立ちをすべく、使い魔の猫さんと共に、弘前の親戚の家で居候を始める。ベースラインは真琴を中心とした日常もの。それに真琴の周りでおこる、というより、ずっと起きていたけど認識されてこなかった不思議なあれこれを織り込みながらお話しが進んでいきます。確かに、他の皆さんが書かれるように大きなドラマもスペクタクルもなく、ただただやんわりと日常が進んでいきます。
全体的に少し間延びしたテンポで台詞が繋がれていくのですが、それがふんわりとしたほのぼの感につながっているように思います。特に、真琴と居候先の長男(主人公の「はとこ」だっけ?)の圭君の二人は、声質もそうですが発声のテンポや間が落ち着いていて、作品のゆったりした、優しい雰囲気の基調となっていたと思います。土台がしっかり緩やかなので、元気溌剌な千夏ちゃん(圭の妹)や、チャキチャキ系の茜{netabare}(真琴の姉の魔女){/netabare}との掛け合いも、結局は落ち着いた雰囲気のまま進んでいったように感じました(いずれもそんなにうるさくないってのも事実)。
登場人物はいい人だらけ。それはそれで「お話しの世界」でしかあり得ないことなのですが、まったく嫌みがなく、素直に受け入れられました。とりわけ千夏ちゃんは底抜けに可愛らしく、ほほえましい理想の妹像@小学生でした(現実の妹を思い出し、じっと手を見る・・・計算上、圭-千夏兄妹と同じ年齢差なんですよ、僕と妹)。パパさんないす(でも、実は津軽弁わかっちゃった。これ www.youtube.com/watch?v=bmKOW46LaGo と比べりゃ標準語。まいね、さえわかれば何とかなる)。なおさん、もうすこし絡んで欲しかったけどな。犬養さんかわいい・・・
魔法を使う魔女を取り巻くお話しですが、どちらかというと古いブリテンの民間伝承のような、薬師、呪い(まじない)と精霊信仰のようなものが中心です。{netabare}「魔法魔法した魔法(語彙力)」をおそらく使っているであろう茜の魔法、たとえば瞬間移動は、魔方陣は見せるものの移動の瞬間は映さず、事後だけを映すようにするなど、{/netabare}魔法の見た目を派手にしない演出がされていました。これもまた、作品全体をほんわかさせる上で重要なものだったと思います。
この作品、音楽もすばらしいと思います。劇伴に対する気の使い方は凄いなと思う。基本的にはアコースティックな、シンプルでうるさくないものを用いています。これがまた雰囲気が良い。
OPは、映像も含めて僕の中で1、2を争うお気に入りとなりました。作品ともマッチしているし、曲自体もすばらしい。バンジョー(かな?マンドリン?)とストリングの心地よい音に、軽快なハンドクラッピングの相の手、(多分)二人の女性シンガーのちょっと癖のある歌声。これだけでほくほくできる。そしてマンドレイクのPOW、うける。主要人物勢揃いの映像も観ていて楽しい。そんなに凝った作りはしていない、と言うよりこれもやはりシンプル。でも丁寧で素敵。元気に腕振り千夏ちゃん、何故にあなたも茜さん、猫背のわんこ犬養さん。{netabare}一度しか登場していないにも関わらず運び屋さんを毎回観られるのも楽しい。しかも可愛く踊るんだ。{/netabare}
どこからどう切っても、優しく、穏やかな世界。
もっと観たくなる、もっと欲しくなる、そんな作品です。
多くの人にお勧めしたい作品の一つです。