蒼い✨️ さんの感想・評価
2.1
物語 : 2.0
作画 : 2.0
声優 : 2.0
音楽 : 2.5
キャラ : 2.0
状態:観終わった
キツイわ!!
【概要】
アニメーション制作:SILVER LINK.
2019年4月 - 6月に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、『小説家になろう』が出自でファミ通文庫から刊行されている吉岡剛によるライトノベル作品。
監督は田村正文。
【あらすじ】
一人の青年がいた。仕事にやり甲斐がなく家に帰ったところで家族や恋人が待っているわけでもない。
せいぜいゲームかDVD鑑賞で気を紛らわす生活に虚しさを感じていた。
夜の10時にやっと仕事を終え帰宅途中、その青年の人生は一台のトラックによって唐突に終わった。
ある雨の日、魔物に惨殺された死体だらけの馬車の一行を一人の老人が発見した。
老人は王国で魔法の第一人者として名高い賢者マーリン=ウォルフォード。
賢者マーリンは、唯一の生き残りである赤子を見つけて連れ帰った。
赤子はシン=ウォルフォードと名付けられ、賢者マーリンの孫として育てられた。
シンはトラックに殺された青年の生まれ変わりで、ここは剣と魔法の世界。
前世の名前や自分自身を細かく覚えていないが、前世知識だけはたくさんある。
いわゆる知識チートのお陰で、この世界の常識にとらわれない、
そして、俗世間から隔離された生活でシンは普通ではない子供に成長していた。
シンはゲームみたいに魔法が存在する世界に興奮して、
マーリンから教わった魔法をベースに前世知識を応用して実験しまくった結果、
魔法の扱いに関しては化け物としか言いようのない存在になっていた。
そして、シンは15歳になった。世間から隔離された生活で常識を教えるのを忘れていた、
賢者マーリンに代わり、シンに常識を教え同年代の友人を作るのを目的として、
祖父代わりのマーリンと祖母代わりのメリダも付いていき王都に引っ越し、
高等魔法学院に入学することに。シンの新たな生活が始まるのだった。
【感想】
なろうテンプレの集合体として有名な作品。例外は主人公がハーレムを作っていないぐらいか。
凡人の社畜がトラックに轢かれて異世界転生して0歳から人生やり直し。異世界では最強の天才として大活躍して、
『すごーい!』『すごーい!』と絶賛と驚愕の嵐を浴びまくるというテンプレすぎる話ではあるが、
描写に難有りで主人公が天才なのではなくて異世界人の知能が低いようにしか見えないのが困りものである。
主人公は現代日本の義務教育で習う理科知識のイメージで魔法を使うと超破壊力になるいっぽうで、
学園の新入生による異世界の魔術が路傍の石ころを投げたほうがマシな幼稚で劣った恥ずかしい存在として扱われ、
主人公が冷笑しまくってるし、異世界人の驚きの描写が鼻水垂らしたり口をあんぐり開けたりで、
昭和の漫画チックで○カにしか見えない。主人公の戦闘描写や現代知識がもたらす技術革新も、
“進撃の巨人”の超劣化コピーっぽいし、漫画やアニメの見よう見真似の焼き直しを披露して、
『僕ってすごいでしょう!』みたいな展開になるのが、“賢者の孫”なのである。
高校生が小学校に乱入して低学年の児童相手に走り幅跳びで勝ってイキってるような寒々しさが全編に行き渡る。
この物語では確か、主人公より強い存在が皆無で途中で出てくるボスも確実に主人公より弱い存在である。
序盤で登場する主人公の彼女は、服装でおっ○いの谷間を見せまくるし、
主人公が通うことになる学園の女子制服もやたら、
おっ○いの谷間とパンチラを目的とした作為的なデザインであり学び舎に相応しくない。
力・名誉・女を得ていく天才主人公君()がチヤホヤされまくるのを、
視聴者が自分のことのように楽しむキャバクラスタイルのアニメだろうか?
主人公のシンは王族にたいしても基本タメ口であるし、そういうイキリ部分が権威に屈しない理想の主人公として、
ファンから称賛を得られているのだろうか?ナチュラルにルサンチマンの発散じみたものが、この作品にはある。
主人公とヒロインの関係は純愛ではあるしストーリーは意外とシリアスを意識しているのではあるが、
著者の技量が追いついてないのか15年以上前のアニメのような古臭さ&なろう特有の作風が微妙さを演出している。
恋愛や友人関係を扱ったアニメは大好きなはずの自分が、このアニメはノーグッドである。
理由を考えてみたのだが、展開が即物的であり友人キャラ同士の横の繋がり描写が希薄で、
友人というよりむしろ、戦力兼賑やかし要員でしかない。
絡んできても出番の多くがクドい台詞回しでの主人公持ち上げor驚愕に費やされている。
主人公一行は12人まで増えるのだが、登場人物が殆ど主人公のために用意された小道具感が強い。
薄いキャラが大量に並んでコメディをやったところで人間の味が出てこない。
シンのために作られた恋人、シンのためにつくられた友人たち、シンのために作られた引き立て役、
そして、シンのために作られた敵キャラ。要はシンを中央に配置した添え物だらけでドラマが丁寧でなく稚拙なのだ。
主人公であるシンになった気持ちで鑑賞できないと冷めた視線でしか見れないなと自分は思った。
公式webサイトのヤングエースUPに全話アップされてて無料で読めるので、
ある程度目を通してアニメの視聴を続行するか判断したほうが良いかも知れない。
見る人によっては、このアニメで過ごした時間が途轍も無く無意味になる可能性が高いのだから仕方がない。
演出も作画もチープなアニメではあるが、何故か最終回前半だけは良かった。
最終回用にオリジナル展開を入れて敵幹部に苦戦する様子が描かれ、作画も演出も気合が入っていた。
前回第11話の戦闘シーンがおそろしくチープだっただけにギャップが際立つ。
普段からこれだけ頑張れば作品の質も上がろうものなのに、
そうならなかったのは原作が悪いのか?スタッフが至らぬせいか?
良い作品作りの意識が高ければVtuberの声優起用を見送るだろうが、そうならなかったのは、
ジャンクアニメを作っている自覚がスタッフにあるのかもしれない。
アニメの粗製乱造時代の今、何でもかんでもアニメ化し過ぎではないか?ということを念頭に、
業界を見直す時期に来ているのではないか?と思わないでもなかった。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。