「傷物語Ⅲ 冷血篇(アニメ映画)」

総合得点
81.7
感想・評価
525
棚に入れた
3514
ランキング
399
★★★★☆ 4.0 (525)
物語
3.9
作画
4.1
声優
4.1
音楽
3.8
キャラ
4.1

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ネタバレ

TaXSe33187 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 2.0 作画 : 1.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

センスすげーだろ?を見せられてる感

1期2期セカンド途中に終物語上までのTVシリーズと三部一通り見た上での感想
ちなみに原作は終物語下まで読了、それ以降は冗長すぎるので断念


1期はひたすら面白かったし2期は原作自体あんまり好きじゃなかったけどそれでも面白かった
セカンドシーズンを途中で切ったのは時間的な都合で飽きたからではないし、終物語上は本当に好きだった

ただ、劇場版だけは全然受け付けなかった
なんというか、「物語シリーズを表現するためのシャフトのスタイル」が「シャフトのセンスを示す土台としての傷物語」に主体が転倒した感じ
今までも戦場ヶ原が有り得ない高さから落ちてくるシーンに始まりだだっ広い浴室など独特の演出はよく出てきた
実写をアニメの中に入れてしまったり、原作の文章を画面中に出して見せたり奇抜さが面白かった

劇場版の場合は力を注いで絵柄を一新したまでは良かったけど、そこから冗長な演出尺を稼いで無理やり三部作を作ろうとする様子がありありと見えた
きっとキスショットの二つ名が先行して中身が決まらないまま三部作をぶち上げたんだろうなあと

で、その尺稼ぎに何をしたかというと「ぼくのかんがえたさいこうにかっこいいえんしゅつ」を延々見せ続けるだけ
話はキスショットとの出会い、羽川との出会いだろうと
キスショットと共に過ごす中での連帯感と、それでも人間を諦めきれない阿良々木が自分を導いてくれる羽川への恩を膨らませていく話だろうと

それなのにキスショットは手足を取り戻しましたー大きくなりましたー、それだけ
あとはひたすら羽川ばっかり、パンツだおっぱいだそればっかり
阿良々木は馬鹿だと分かりつつも大泣きするキスショットを助けたんだろ?
なのになんで起きたと思ったら交流もろくになくパンツパンツやってんだよと
羽川の存在が今後大きくなる契機の話だからそりゃスポットが当たるのは当然だけど、それにしてもやりすぎだろうと
人間に戻りたい思いからキスショットとは一線を引きつつも、三人のハンターと戦う中でシンパシーが芽生えるからこそ最後のシーンが引き立つんじゃないのかと

体育倉庫で自分の罪を自覚して「僕のせいだ…」と独白するときの神谷さんの演技は鳥肌が立つくらい好きなシーンだけど、そこからまたギャグシーンが始まる
原作にもあるし大事な場面ではあるけど、それまでにも散々羽川でネタを引っ張っているから大事なシーンすら食傷に感じてしまう

そしてラストバトル
正直ここが一番嫌い
なんでギャグテイストを出したのかと、なんで競技場を走って実況が流れて…なんて演出にしたのかと
1期化物語におけるレイニーデビル戦以上に力の強い二人の戦いだし、偽物語の影縫戦と違って相手を全力で殺しにかかってる
吸血鬼の力にも多少慣れて、言わば「阿良々木暦の唯一の全力戦闘」のはず
特にこの映画の中ではTV放映と違ってモノローグが入らず、阿良々木の主観ではなく第三者的な表現で演出されていることが分かる
阿良々木本人が語る際に自信を三枚目のように見せるのはともかく、今回は第三者的視点だからギャグが挟まる余地はない
なのに何故、第三者から見た戦闘がそんなにおちゃらけた演出になるのか?
戦い方が分からず砲丸投げで戦ったり、地形利用のために結果的に幅跳びしたりっていう「傍から見るとシュールな戦い」ってのは傷物語の一つのポイントではある
でも、ここは違うだろうと
三回の戦いで自身の身体能力、不死性、簡単な肉体の変化を理解して、持てる手札で再生能力の続く限り互いに殺し続ける凄惨な図だろうと
別にグロさを求めるわけではないけど、第一部のキスショットの登場シーンであそこまでの演出をしたのにどうしてここではふざけるのかが分からない
あの切断された手足をビタビタ振り回して泣き叫ぶ姿に思わず目を背ける迫力があったし、「傷物語はガチのトーンで進むのか…」と思ったのに最後はマラソン、感動のゴール!……は?

競技場を戦いの舞台にしたから実況で盛り上げるとおしゃれについてなるとでも思ったの?
「傍から見るとシュールな戦い」のこれまでと違って、ラストバトルだけは「真面目な場面を傍から茶化す」魂胆しか伝わってこなかった
今までのシリーズではクライマックスを茶化すような真似だけは絶対しなかったのに、映画になったとたん調子に乗って演出過多になっている
その象徴が異様なまでの羽川推しだしラストバトルの悪ふざけ

これなら化物語1話アバンのほうがまだキチンと一貫した雰囲気で傷物語を構成してた
こんなに時間をかけて制作して、しかもファンに何度も足を運ばせた結果がこれと思うと見て損したって感想ばかり浮かんでくる

声優陣はシリーズ通してやはり素晴らしく感動したし、スタッフロールで流れる曲は吸血鬼がテーマのシリアスな話に相応しい耽美な曲だった
それでも意図のおかしい脚本と、おしゃれを勘違いしたような演出で美点を見事に無にしてくれた辺り本当に素敵な映画だった

投稿 : 2019/04/28
閲覧 : 314
サンキュー:

4

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