「この世界の片隅に(アニメ映画)」

総合得点
82.8
感想・評価
700
棚に入れた
3106
ランキング
350
★★★★★ 4.2 (700)
物語
4.3
作画
4.2
声優
4.2
音楽
4.0
キャラ
4.2

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ネタバレ

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

家族の顔が見たくなるアニメ

2016年11月公開のこの映画は現在はほぼ単館上映にはなりましたが
2019年5月も劇場公開を続けており先日連続上映900日を超えたようです。
それでもお客さんが入っていることが凄まじい。

監督:片渕須直さんは「マイマイ新子と千年の魔法」などの劇場アニメ
「BLACK LAGOON」などのTVアニメやゲーム:エースコンバット4や5、7の
脚本など様々なお仕事をされている方です。


物語は戦前の広島、江波に暮らす少女、浦野すずが
呉で生まれ育った北條周作という青年と出会い、嫁入りして
日常を過ごしていくものです。
嫁入りの時点で太平洋戦争がはじまっている時世ですので
戦争の中の日常が焦点になっていきます。


本作の秀でた点を一つ言うとその緻密な設定があります。
それは主要登場人物やモブのキャラなどを含めた
登場キャラクターの人物像から当時の街並み、文化、
描かれる各日付の天候や出来事まで、2016年までの間に
聞き込みや資料から確認ができる事実を可能な限り
物語に盛り込んで描かれているようであるということです。

そうした事実を盛り込んだ物語が淡いタッチの作画、
コトリンゴさんの優しい楽曲と自然な広島の方言の演技とで
日常の尊さを感じさせながら史実の凄まじい説得力を持って描かれます。
本編は笑顔で観ることができる部分もありますが、
戦争が進む中で人々の暮らしがどんどん困難に、悲惨になっていく様が
大きなギャップを持って描かれます。
特に昭和20年の物語はとても重く視聴には覚悟が必要です。


最後まで視聴すると本当に悲しい気分にもなりますが、
それだからこそ家族で笑って生きていくことが
どれだけ大切かということを感じずにはいられませんでした。
2016年の公開当時にはじめて映画館に観に行った時には
早く家族の顔が見たくて家路を急いだことをよく覚えています。


太平洋戦争が当時を暮らした人々にとってどんな物だったか、
それを感じることができる点において学校の教材にしてもよい
説得力を持ったアニメですので、戦争の時代の物語に
大きな抵抗のない方には一度観てほしい名作と断言できます。

今後こうの史代さんの原作にあったエピソードを足した
長尺版が公開されるとのことですので、
長尺版の公開前にはまた見返してみたいですね。

投稿 : 2019/05/01
閲覧 : 199
サンキュー:

9

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