「劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~(アニメ映画)」

総合得点
87.5
感想・評価
424
棚に入れた
1961
ランキング
152
★★★★★ 4.3 (424)
物語
4.1
作画
4.5
声優
4.3
音楽
4.4
キャラ
4.3

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ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

目標のために努力する意味とは

世界観:7
ストーリー:7
リアリティ:9
キャラクター:8
情感:6
合計:37

<あらすじ>
昨年度の全日本吹奏楽コンクールに出場を果たした北宇治高校吹奏楽部。
2年生の黄前久美子は3年生の加部友恵と、
4月から新しく入った1年生の指導にあたることになる。
全国大会出場校ともあって、多くの1年生が入部するなか、
低音パートへやって来たのは4名。
「全国大会金賞」を目標に掲げる吹奏楽部だけど、問題が次々と勃発して……!?
北宇治高校吹奏楽部、波乱の日々がスタート!
(公式サイトより抜粋)

響け!ユーフォニアムシリーズはTV放送1期(5.0点)・2期(4.7点)、総集編1期(4.2点)・2期(4.6点)、リズと青い鳥(4.5点)と非常に高水準のアニメであり、最新作の続編ということで、多忙な中でしたが何とか時間を作って劇場に足を運びました。

本作の評価は4.4点。私の評価はストーリーを1項目としていますが、全体的に物語性に引っ張られていると思うので、高得点連発は原作小説が私好みであることに間違いありません。

多くのアニメでのキャラクターは基本前向きで、あまり人間関係で深刻になることはなく、そこ自体フォーカスされない印象ですが、ユーフォでは人間関係のギスギスした感じ、人間模様がしっかりと描かれていて、本作は更に重いです。{netabare}久美子が2年生となり、1年生が入部してきますが、全員が面倒くさい性格です(さつきは葉月と似たタイプで個人では問題ないですが、その存在が他の1年に影響を与えるという)。

求は呼ばれ方へのこだわり(理由不明)と口の悪さに癖がありましたが、緑輝の技術に惚れて弟子入りしてからは問題なさそうでした。また、美玲は拘束されることが嫌いで成果主義なところがあり、孤立感を抱いてしまいましたが殻を破れば打ち解けられました。

私が一番不器用と思ったのは久石奏です。上下関係としては久美子が上で奏は下ですが、奏は一見、良い子を演じて先輩を持ち上げていますが、同時に遠慮なく値踏みしています。久美子に対し、「優しい人ですね」とか「尊敬できる人です」といった台詞がありましたが、尊敬に値するか等を評価していることを伝えて負荷をかけるので、こういうタイプのマネジメントには手を焼くものです。

奏が久美子に答えにくい質問や投げかけをする(例えば、美玲とさつきのどちらが好きか等)シーンがありましたが、久美子の対応ぶりがとても大人らしく、好感を持てました。一方、奏がオーディションについて、上級生が選ばれるべきと言った理由も、納得できるものでした。このあたり、顧問が変わってからの全国大会出場という物語において、成功したからオーディションの不満が抑えられたとの再評価を提示していて巧みです。

実際には、麗奈がソロを吹いたことによって全国大会出場の道が開けた可能性も大いにあると思われること、ギスギスが問題になるかどうかは、結局のところ当事者(香織)の人間性の良さに拠る部分が大きいこと、は指摘すべき点と思いますが。

努力しても結果が出ないことについて奏と久美子がぶつかったシーンは良かったですね。今回、結果的に関西大会でダメ金に散ったのもリアリティを高めていて、最後、奏の「悔しくて死にそうです。」に繋がっていて大枠はしっかりしたストーリーになっています。

何か目標を持って、その達成に努力すること。特に学生時代に集団でそれを行うことは、たとえ成果が出なかったとしても、その後の人生の財産になるのだろうと思います。意味があると考えるのは、自己満足であって良いというメッセージを受け取りました。

冒頭、水面の映像美に続き秀一の告白で始まった時は、ついに2人の恋愛がきたかと思いましたが(原作組から若干ネタバレを受けていたので)、あがた祭りに一緒に行ったくらいで、程なくフェードアウトして良かったです。武田さん、アニメでの評価も参考にそういう方向にしたのではないか?

久美子たちが1年生を歓迎する側になって校舎入口で演奏するオープニングでは1期1話がフラッシュバックしたり、久美子が奏を勧誘しすぎたと思って足を引くシーンでユーフォらしさを感じたり、加部先輩とのやりとりで、オーディション時に久美子が麗奈に拍手したことを褒められた所が面白かったリ(主人公に寄り添って体験した出来事を、他人の視点で聞けるのは面白い。モブがいない作風らしくて良い)、OG先輩たちの登場は懐かしい気持ちに共感したり。

特に心に響いたのは麗奈と合流した大吉山のシーン(やはり2人の友愛が映える作品)、奏からの質問に対して、「それが多分、私のはじまり」と言って舞台に上がるシーンでした。{/netabare}

本来あるべき3期の総集編といった印象ですかね。{netabare}美玲の問題解決が2期序盤を彷彿とする駆け足度合だったこと、希美とみぞれはリズと青い鳥での演奏しかほとんど登場できませんでしたが、彼女らの最後の演奏会でのやり取りももう少し見たかったこと、夏紀と久美子が一緒に大会で吹けて1期の約束が叶ったあたりも触れてほしかったこと等、{/netabare}時間の制約がもったいないと思われる圧縮のされ方でしたが、響けユーフォを全て見てきたファンにはきっと満足できる内容だと思います。

ラストシーンで、{netabare}奏に部長と呼ばれる久美子。オーディションの時に伏線は感じましたが、1年生の相談役にもなっていたのでここも納得です(副部長は麗奈であってほしい)。
誓いの「フィナーレ」というサブタイですが、いやいや、ここで終わらないでしょ。{/netabare}

急かしませんので、5年以上かけてでも、3年生の久美子をTV放送で、できれば2クール以上で作ってくれることを切望します。

(2022.8追記)
少し評価調整をしていたところですが、久しぶりに全体評価の調整を行うことにしました。終了次第、平均点情報も更新予定です。

2年生編が劇場版で短縮化されてしまったのは残念ですが、上に希望していたとおり、3年生編をTV放送で制作してもらえる方向になり良かったですね。

(参考評価:4.5→4.4)
(視聴2019.4→調整2022.8)

投稿 : 2022/08/20
閲覧 : 376
サンキュー:

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