ちゃ さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
劇場で一度、自宅で何度も。
これはいかん。
ものづくりをしている人間にとって、爆弾のような映画だと初めに見た時は感じた。
当時劇場で見た際は、ただただ涙が止まらなかった。隠すことすら出来なかった。
実際に、自分の作り出した物に依存する人々や、今現在アニメを作っている人たちに、宮崎駿監督はある程度、ないし、かなり頭を悩ませていたように思う。
自分の作り出したもので、誰かを幸せにしたいなんてことは本当に出来るのか。
むしろ、多くの人を不幸にしてしまう事の方が多いのではないか。
そもそもそんな事を考えるのは、偽善的で、ただのエゴなんじゃあないのか。
宮崎駿監督は、自然の素晴らしさを伝えたくてトトロを描いた。
だが、たくさんの子供がトトロにハマり、家で何度も繰り返し見ているという話を聞き、ひどく悲しんだことがあるという。
もうその時から、日本だけでなく世界の最前線で、ずっとずっと、苦しんできたのだろう。
これはものづくり…エンタメだけではなくすべてのものに通じる広い意味でのものづくりをする人たちへだけ向けた、非常にどストレートな作品だ。
インターネットが発達した今、いわゆる作り手というものはものすごい勢いで増えている。
全ての提供者にその意味を一度考えてほしい。
実際にそれを体現してきた宮崎駿監督だからこそ、このテーマが許されるのだろう。
ちなみに…当初最後は「生きて」というセリフではなかったという。
それでも、鈴木さんに言われ「生きて」というセリフを選んだ。
それはもう、とんでもないことだ。
当初の予定のセリフであれば、幾人かの作り手は、筆を折っていたかもしれない。
私はこのラストは、日本の映画史上屈指のものだと思う。
まさに、生きねば。
ただ、頭すっからかんにして見る娯楽映画としてはかなり失敗だと思います(◞‸◟;)