rie-ru.2 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
この願いは…
selector infected WIXOSSの続編。というか後半。
暗く、スッキリしない前作の雰囲気を漂わせながら、舞台は都市から少女の内心へと迫っていく。
行き当たりばったり、設定が崩れてる、とかいろいろマイナス意見もあると思うんだけど。
この作品に関しては、それがいい方向に作用している。
そもそもの黒幕が{netabare}ただの女の子{/netabare}であり、
物語の原理はSFでなくファンタジー、いやオカルトなのだ。
論理的な一貫性に欠けるのは当然。もはやその奔放さ、キャラを翻弄する点において一貫している。
そして、そのゆらゆらとした不安定さを修飾するのが本作の絵的なイメージ。
セレクターバトルが行われる空間、白窓の部屋、そうした「閉じられた場所」の描写が素晴らしい。
非現実めいて在りながら、戦いの場は激しく苦しみや歓びに溢れ、
イメージの最深部「白窓の部屋」は神秘と孤独に包まれている。
そんな、少女たちのないまぜになった心を映すものや、設定を通じて、主人公たちは核心に近づいていく。
前作、歪んだルールの上で踊らされていた彼女たちが、歪みの原因を、本当にすべきことを知っていく。
邪道に見えて、物語の芯はとても素直だと思う。
最後、主人公は{netabare}救える可能性のある人全てを救う{/netabare}という願いを告げる。
当たり前だけど、これはまどマギのラストと対立するわけではない。前提が違うのだから。
タマとユキという{netabare}黒幕の心の分身{/netabare}に触れていたから彼女はそこまで辿り着けた。
2クールの話数でしっかりと「選択を間違い挫折すること」「心のありようを知ること」を描いたからこそ、なのだ。
(そもそもまどマギは相手が相手だし…)
まどマギが{netabare}友達だけでない全てを救う物語{/netabare}なら、
本作は{netabare}救おうとすることで友達の、自分の願いを知る物語{/netabare}なのだろう。
ラストのただ爽やかな青空と、叶ったのか分からない最後の願いのイメージが、
翳っていた街をすがすがしく映しだしていた。
それが、私にはとても美しかった。