Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ぼくは自動的なんだよ。名を「不気味な泡(ブギーポップ)」という…。
この作品の原作は未読です。
実は、ブギーポップは2000年に「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」というタイトルでアニメ化されています。
冬アニメで本作品の放送が決まった時に視聴しておいた方が良いか悩み、wiki先生に相談してみました。
すると、先に放送された作品はオリジナルストーリーで外伝的な位置付けとの事でした。
しかも、原作と同様に各話の語り手が異なり、全ての話を見ることで事件の全体像が浮かび上がってくる構成となっているが、小説本編を読んでいないと内容をほとんど理解できない、と堂々と書かれているんです。
これはこれでどんな作品かは気になりますが、内容を理解できない作品の視聴にどれだけ時間が割けるか…だと思います。
まぁ、直接的な繋がりが無ければ無理して視聴しなくても…と思い画面を閉じようとした時、記載されていたとあるコメントに目が留まりました。
「シリーズ構成の村井さだゆきは、テレビアニメ版が外伝的なオリジナルストーリーとなった理由として、原作がシリーズもののテレビアニメに向かない構成であることを挙げている。」
つまり、本作品のアニメ化は一度検討の遡上に上がったものの上記の理由から見送られた、という事が言えると思います。
過去に見送られた作品がアニメ化される…これって興味が湧きますよね。
しかもブギーポップ役を演じるのはあおちゃん…これで視聴に気合いが入らない訳がありません。
そういえば、wikiにあおちゃんがオーディションを受けた時のコメントが書かれていました。
悠木は「キノの旅」のキノを演じたことがあり、一人称を同じくする点などからブギーポップに近いところがあると考え、オーディションではキノをもとにした演技を行ったところ、そこまで淡々としなくてよいという指示が出された。
さらに「ブギーポップは無表情だけど、もっと口上みたいに、朗々と歌い上げるような感じのほうが嘘っぽくて不気味な異世界感が出ていい。でもアンニュイな印象は残してほしい」という指示が出された。
悠木はその時の様子について「ただ、その指示をオーディション中に言われたときは、もはや何を言われているのかよくわからなくて超やぶれかぶれで「こんな感じだろう」と思ってやってみたんです。でも結果受かっていたので、「受かったんですか? 本当に?」と疑いました(笑)。」とナタリーとのインタビューの中で振り返っている。
確かに…出された指示の意味がサッパリ分かりません^^;
この作品…声優さんに対しても厳しい作品だったんですね^^;
勇む気持ちを抑えて視聴を始めた訳ですが…なんかとても難しい作品だったと思います。
まずこの作品のジャンルですが、wikiでは「学園、セカイ系、SF、群像劇」と記載されています。
一方、公式HPのIntroductionには「アクションファンタジ-」と記載されているんです。
もちろん、捉え方に千差万別あるのは当然だと思います。
でも、上記のジャンルはあまりにも違い過ぎています。
視聴して異なるジャンルを視聴者にイメージ作品…と考えると、私もこの作品の本質が理解できてないんだなぁ…とつくづく思いました。
この作品は、以下の4つの物語で構成されています。
・ブギーポップは笑わない
・VSイマジネーター
・夜明けのブギーポップ
・オーバードライブ 歪曲王
物語はたった4つしかないのですが、とても裾野の大きな作品です。
「群像劇」というジャンルからも複数の物語が同時並行的に描かれていくのですが、ほぼ接点がないので、何だか別の作品を見ている感じでした。
それぞれの物語を繋いでいるのが「ブギーポップ」という単語だったと思います。
最初、ブギーポップは都市伝説かなにか…程度しか人々に認識されていませんでしたが、「ブギーポップは笑わない」の中で徐々に存在が色濃くなっていきます。
第2の物語である「VSイマジネーター」ですが、このサブタイトルだとイマジネーターが誰と…何と戦うのかが全く見当が付きません。
視聴者を理解から遠ざけるため…或いはミステリアスさを欠如させないためかと思っていましたが、どうやらその勘は大外れでした。
「書かない」のではなく「書けない」という表現がピッタリだと思います。
物語は第3の「夜明けのブギーポップ」に移っていきます。
話数で言うと10~13話に相当するのですが、この録画に失敗された方がいらっしゃるのではないでしょうか。
何故ならこの物語だけ日曜のゴールデンタイムに放送されましたから…
この作品が休日のゴールデンで放送されるとは中々想像できませんよね。
でも、10~13話を視聴していなくても、きっと話は通るんだと思います。
何故ならこの物語はブギーポップの人となりを知る物語でしたから…
でも視聴すると作品に対する深みを持てると思います。
こうして物語は最終段階である第4の「オーバードライブ 歪曲王」に突入します。
人々の…ブギーポップは一体何と対峙するのか…
何故「不気味な泡(ブギーポップ)」と呼ばれるのか…
そしてこの難解な物語はどこに向かっていくのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、MYTH & ROIDさんの「shadowgraph」
エンディングテーマは、安月名莉子さんの「Whiteout」
MYTH & ROIDさんの安定性は相も変わらず高いレベルで推移しています。
安月名さんは、これが2曲目の楽曲ですね。
「やがて君になる」OPである「君にふれて」からチェック済です。
1クール全18話の物語でした。
1.5クールの尺を1クールの放送枠におさめているのは、日曜のゴールデンを使ったから…
全ての伏線が回収された訳ではありません。
物語と共に存在が薄れていったキャラもいるので、その後が気になるキャラもゼロではありません。
でもそれを全てひっくるめてこの作品の魅力…と言って良いんだと思います。