oxPGx85958 さんの感想・評価
4.4
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
最終話まで見て、賞賛するしかなくなった
ロリアニメも百合風味の日常系アニメもジャンルとしては好みでないので、本作の枠組みそのものが私には合っていないはずだったのですが、これは1作目から問題なく楽しめました。その第一の原因は、主人公に据えられている大学生の女性の人物造型がユニークで面白かったという点にあります。物語から男の存在を排除する手段として興味深いアプローチでした。
その後、もっぱら安定した作画と演出・演技のおかげで楽しく見続けることはできたものの、物語としては中だるみも繰り返しもあっていまいちかなと思っていたわけですが、最終話でのミュージカル仕立てのセグメントで、シリーズ全体の見え方が完全に変わってしまいました。
劇中劇や劇の中での歌唱など、「素晴らしい」とされているパフォーマンスを劇の中で描くことには大きなリスクがあって、描かれたものそのものに説得力がないと物語自体の説得力が損なわれます。で、アニメに限らず他のメディアでも。「素晴らしい」パフォーマンスを描くことに成功しているケースは非常に稀です。
だが本作での劇中劇の描写は非常に良かった。私が見たアニメの中では、『響け!ユーフォニアム』第1期のクライマックスと並ぶ衝撃度でした。
それ以上に面白かったのは、作中でこれが小学生の演目としては凄すぎるというようなことを誰にも言わせないまま、さっと流していることですね。「必然性のないヌード」ならぬ「必然性のない力の入れ方」であって、破調であり、異物感がある。
それだけに、このセグメントを本作の主眼であるとみなすのはあまりよくないことだとは思います。ただ、この部分は本当に良かった。
それ以外の、普通のアニメとしての側面では、前述のとおり主人公の造型と上田麗奈の演技が素晴らしかった。また、それを支え、際立たせている妹のひなたのあり方と、それを演じている長江里加が良かった。本作で描かれている姉妹関係は、「きょうだいもの」の一般論の中においても特筆すべきものだったと思います。
難しい役柄だったでしょうが、主人公の崇拝の対象である花を演じる指出毬亜は、物語が進むにつれて微妙に演技を変えているのがわかりました。乃愛を演じる鬼頭明里の安定ぶりは個人的に好みです。