oxPGx85958 さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
見る意味のある作品
見る意味のある作品
2017年のベストが『少女終末旅行』で2位が『けものフレンズ』だった私にとっては夢のような作品、ということになるかもしれなかったのだけど、その期待が完全に満たされたかというと微妙、とはいっても、見る意味は絶対にある作品でした。
監督のたつきという人が「作家」であること、そして『けものフレンズ』の良かった点の多くがこの人に由来していたことが再確認できました。
『少女終末旅行』にあるような気取った美意識がこの人にはない、ということもよくわかりました。これは欠点であるかもしれないし、逆に美点かもしれない。受け手によるし、その作品にもよるでしょう。
『少女終末旅行』の最終話での種明かしが作品全体をスポイルしてしまったように思えたのとは対照的に、『ケムリクサ』の終盤での種明かしは物語にストレートに貢献していて、非常にパワフルでした。それに向けての物語の構築も、『けものフレンズ』のときと同様に、とても巧妙でした。たつきという人は物語の王道に真っ向から取り組もうとしてる、ということがこの2作でよくわかりました。
作中に登場するギミックのSF的なセンス・オブ・ワンダーも『けものフレンズ』と同じ。小道具にせよ風景にせよ、息を呑むような瞬間がいくつもありました。
もう1つ確認できたのは、役者の演技に対する考え方です。世界の枠組みや脚本や声優の起用などの制約がたぶんほぼなかったはずの本作でも、こんな感じの演技プランになるんだ、あれは『けものフレンズ』の制約のせいじゃなかったんだ、ということ。
1つ、不完全燃焼だったなと思うのは、最終話での「お約束」として受け入れるしかないような解決でした。この点も『けものフレンズ』と同じなんだけど、シリアスな物語をシリアスに語っている本作には似合わないんじゃないかと。