STONE さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
閉鎖的環境を舞台にした緊張感溢れるサスペンス
原作は未読。
設定こそはSF仕立てだが、内容的には閉鎖環境におけるサスペンスといったところで、設定は
この状況を作るための舞台装置止まりといった印象。
平和そうな表面の下での管理者であるイザベラらと真相を知ったエマ達とのやり取りはかなり
緊張感のあるもので、加えてホラー的演出も相まって、かなり引き込まれた。
演出としてはエマ達の密談シーンのカメラワークが神視点的なものなのか、誰かが
監視しているのか分からないような感じになっていて、これが結構緊張感を与えてくれる。
中盤では管理者側にシスター・クローネが登場するが、これがイザベラの単なる協力者に
終わらず、対立構造を三つ巴状態にすることでドラマに面白みを与えていたように思えた。
エマ、ノーマン、レイの3人の子が切れ者との表現がなされていたので、エマ達とイザベラとの
高度な頭脳戦を期待していたが、常にイザベラが先を行く感じで、視聴者としても絶望感を
募らせてしまう感じ。
それだけに終盤の大逆転とも言える展開はかなりカタルシスが得られるものだったし、そこに
至るまでの真相を知るに少なくとも後半はイザベラが「先を行っていた」のではなく、エマ達が
「先を行かせていた」ようで溜飲が下がる思いがあった。
「エマ達が悪いママにいっぱい食わせました」で終わらないところが良いところで、最終話で
イザベラの過去が描かれることで、脱走を諦めたところからママへの道を歩みながらも、ある種の
絶望感を持ち続けていたようで、同じような状況でありながら諦めなかったエマが
脱走したことで、それが解放されたように思えた。
そういう意味ではエマ達の旅立ちの話であり、イザベラの魂の救済の話でもあるような。
このイザベラの優しさと怖さという相反する部分を併せ持ったキャラとして、一番印象に
残るし、中の人である甲斐田 裕子の演技がよりイザベラというキャラを説得力のあるものに
している感じ。
このイザベラの優しさに関して、当初はカモフラージュ的な芝居だと思っていたが、話が
進むに連れ、本当に子供達に愛情を持つための優しさに思えてきた。
その愛情が実子に対するものに近いのか、農家が愛情を持って食用の家畜を育てるのに
近いのかは分からないけど。
どうしても気になったのが深夜に大声で話したりするところ。
心情を映像化したデフォルメ的演出なんだろうけど、全体が写実寄りの描写のため、「あんなに
大声で話したら気付かれちゃうよ」という気になってしまう。
2019/04/13
2019/05/19 誤字脱字修正
2023/07/23 加筆・修正