takumi@ さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
終戦直後に制作された貴重な作品
終戦直後の1947年に公開されたという、
24分ほどの貴重な短編アニメ映画。
主人公は捨て猫のトラちゃん。
お腹をすかせて泣いていたところ、3匹の仔猫の母親である三毛猫が、
ミルクを分け与えてくれたのをきっかけに、
そのまま三毛猫一家の家族になったトラちゃんに対し、末娘のミケちゃんが嫉妬。
彼女はふてくされて家出してしまい、
責任を感じたトラちゃんは必死に探すが、という物語。
ストーリーは現在にも通じる日常のひとコマだけど、
当時としては戦災孤児の続出をテーマにした作品なのだそうだ。
擬人化した猫たちの愛らしさやリアルな気持ちは
観る者への高い情操効果を上げたようで、
戦後直後の傑作と言われているらしい。
全編フルアニメで制作され、子猫たちの心情などは
ミュージカル的な演出をされているので、
きっと当時の小さなお子さん達にも、
わかりやすかったのではないだろうか。
また、猫達の表情や動きがとても豊かでかわいく、
カエルたちにからかわれるシーンなんかは、カエルの合唱が
妙にリアルで。
さらに、彼らが住む白くて四角い家の洋風なデザインや、
今ではレトロな雰囲気の足踏みミシン、
ブリキでできた動くおもちゃ、クリスマスツリーなど、
欧米文化を取り入れた生活を映し出していることも、
すごく印象的だった。