rie-ru.2 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
わたしたちは救われない
この物語に主人公はいない。
世界の敵と戦うのは、ブギーポップと炎の魔女だ。わたしたちではない。
わたしたちはただ、彼女たちを垣間見るだけ。
その流れの中で、何かを見つけて何かと向き合うだけ。
それは日常に潜む常識、イマジネーターであり、
怖れる心に巣食い自壊する恐怖喰い、フィアー・グールであり、
歪曲王の映しだす過去の残留物なのだろう。
ブギーポップは何ももたらさない。世界の敵に死を与えるだけ。
世界の敵にならない限り、ブギーポップはわたしたちを救ってくれない。殺してくれない。
それは希望があるという呪いであり、絶望の中でも簡単に死ねないという祝福でもある。
イマジネーターになれなかった「もどき」だって、世界の敵ではなく社会の敵だった。
半端な力しか持たなかった彼は、だから殺してもらえなかった。
「君の絶望に死ぬ価値はないよ」と無感情な宣告を受けただけだ。
彼は結局イマジネーターになろうとして、イマジネーターに負けてしまった。
半端ものの彼もまた、わたしたちと同じように世界でなく自他の欠落と対峙せざるを得ないのだ。
こんな現実を見せつけられて、わたしたちはそれでも生き続けないといけないんだろうか。
ブギーポップに聞いたって、「そう思えるほど懸命に生きたのかい」と皮肉に言われるだけだろう。
それなら、わたしたちはどうすればいいんだろう?
弱く、醜く、脆いわたしたちは?
それは結局のところ…わたしたち次第なんだろうね。