シャベール大佐 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ダメダメでウザい主人公の成長を見守るSF作品
2017年のある日、渋谷の街が丸ごと約320年後の未来に飛ばされてしまい、主人公・堂嶋大介たちが元の時代への帰還を目指して奮闘する、みたいなストーリーのSFアニメ。全12話。
内容的には、タイムトラベル設定だけでなく、ストリングパペットという人型機動兵器に乗り込んで戦うロボットアニメ的な要素もあり、また、異常事態に直面した人々がどのように行動するかを描くパニック物のような一面もあります。作品内で起きている出来事の大きさの割には、作風にあまり暗さや絶望感はなく、そのあたりは監督が谷口悟朗ということで、アクティヴレイドやID-0などの軽いノリと近いところもあるかもしれません。ストーリーは序盤から大きく動くので、すぐに引き込まれますし、終盤の展開については、SF的な理屈によくわからない部分はありましたが、人を描く物語としての締め方は悪くなかったです。
一方、この作品でいちばん賛否が分かれそうなのは、堂嶋大介のキャラクターでした。小学生のころに起きた事件をきっかけに、いつか必ず自分が皆を守ることになる、という信念(妄想?)に凝り固まっていて、とにかくウザいです。主人公でありながら、人間的にダメダメで、かっこ悪い部分も繰り返し描かれているので、嫌悪感を覚える人も多いと思います。個人的には、確かに大介はウザいと感じましたが、その感情は作中の人物にも共有されているので、観ていて納得感がありましたし、未熟で自己中心的な大介がどのように成長するのかというのは物語の根幹でもあったわけで、ちゃんと意味のあるキャラ設定だったと思います。
作画は全編CGですが、問題なく観ることができました。音楽は、OP曲が良かったです。
最後まで観終わって、後味も悪くなく、なかなか面白かったです。近年の谷口悟朗監督の作品は、必ずしも高評価ばかりでもないようですが、安定して楽しめる作品を作っていると思います。