芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
私は詩人か...
人は日々命を食べている。我々の育てる豚たちは食べられるために育てられている。私は今日もそんなことには頓着せず、生姜焼きをほうばっているのだが、たまにはそんなことを考える機会があってもいい。人は他人のために行動することを持て囃し、人を殺すことを忌避するけれど他の生き物に対しては結局のところ玩具や道具のように扱うことしかできない。人に同情する吸血鬼も、吸血鬼に同情する人間もいて、人と吸血鬼の種の境界は曖昧になる。それが種の境界からすら解き放たれたコスモポリタニズム的見地を提示する。人間も吸血鬼も独りよがりで生きるしかなく、そこに善も悪もない。
吸血鬼は人にとって最後の天敵として、立ち現れる。果たして吸血鬼を(人間という)種の敵として葬り去るべきなのだろうか、吸血鬼という種を肯定するべきなのか、吸血鬼は人としての矜持を守り続けるべきなのか、吸血鬼として生きるべきなのか、その問いに答えはないが、それでも人は自分で自分の道を選ばなければいけない、己が矜持を持って。