「ドメスティックな彼女(TVアニメ動画)」

総合得点
75.4
感想・評価
473
棚に入れた
2046
ランキング
813
★★★★☆ 3.5 (473)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ドメスティックな彼女 レビュー

Introduction

幼いころに母を亡くした高校生・藤井夏生は、
高校の教師・橘陽菜へ密かに想いを寄せていた。

叶わぬ想いと心の中へ押し込み、
ふと誘われた合コンに参加した夏生は、
そこで出会った橘瑠衣と、なりゆきで初体験をしてしまう。

そんなとき、父が再婚することに。
父の再婚相手と一緒に夏生の目の前に現れたのは、
なんと陽菜と瑠衣だった……。

ひとつ屋根の下で暮らすことになった3人の、
ピュアで禁断過激な三角関係がスタートする。

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週間少年マガジンらしい、高校生が甘酸っぱい青春を繰り広げる中に、
ドメスティック(家庭内)な恋愛という状況になることによって
登場人物達が悩み苦しみそして抗えずに流されて、その結果また苦しむという負の感情を描いたダウナー系作品と感じられました。


リアリティという点について、橘 瑠衣となりゆきで初体験してしまったことについてまずどうでしょうか。
これについては、話の導入としてはありだったのかなと思っています。
その後の橘瑠衣の人物の掘り下げや、夏生と関係を深めることによって、変化が生じていくことの描写おいて、この時の初体験をしてしまったという枷が永遠に拭いきれていない、つまり清算しなければいけない過去として、強く視聴者の視点を固定してくれたように思えます。

三角関係がこじれるキーポイントにもなりますよね。
夏生が橘陽菜(瑠衣の姉)の事を好きだった、だけでは、この物語の密度の高さは生まれていないと思います。夏生が陽菜に強く惹かれれば、瑠衣はそれだけ夏生に対する恋心をためて、アクションを起こしてくる。

夏生と陽菜のドメスティックな恋愛がすでに「やめとけばいいのに・・・」とダウナーな感情を引き起こすのに、そこに瑠衣が夏生が二股になる形で迫ってきて、これまた罪悪感をひきおこすという。


さて主人公である夏生ですが、序盤の夏生は、振り回されるだけの純粋な少年でしたね。好きな人がいるのに、瑠衣の誘いを受けてしまったり、陽菜の言葉にショックを受けたりと。

初期には陽菜には別の彼氏がいて、その彼氏が既婚者であることから、不倫であるということに、夏生は酷く憤っています。それは陽菜のためにならないという言葉の裏に、陽菜を奪いたいんだろう?という感情を、視聴者はひしひしと感じることが出来て、非常に夏生の浅はかさを感じますね。

後半は二股であったり、若さゆえに覚悟を相手に要求したり、ジェラシーであったり、あまり良い印象がありませんね。
まあ、本当に「若さゆえ」という言葉がよく似合う主人公ですね。未完成感があって好きですよ。全体的に。

最終話付近での小説家としての夏生の成長は、ダイナミックではありますが、荒削りな展開だと思います。

夏生に何が足りないかの提示が強く行なわれていなかったのかもしれませんね。小説を書く技術的には足りていたことは、彼の執筆歴と先生からの指南によって明らかでしょうが、そこに何が足りないということを、彼自身のいないところで視聴者に納得させるようなシーンがあればよかったのかと思います。

さて、物語についてはこれくらいにして楽曲について。
オープニングテーマ「カワキヲアメク」について
この楽曲、YoutubeでオリジナルアニメーションでMVがあるんですよね。
→美波「カワキヲアメク」MV
それの解釈は別としてOPにもこの美波というアーティストらしき人物は登場していますよね。非常に印象的です。
非常に強い歌声によって、少女の心を歌い上げることによって感情を揺さぶる楽曲ですよね。
映像の方も、モノクロの静かな導入から始まり、楽曲のスピード感に併せて走るシーンなど、
楽曲のストーリーのスピード感を、映像の方がしっかりと描いているように見えます。
「私待っているから」という、瑠衣のラインのメッセージが瑠衣の三角関係でのポジションをよく表していますね。作中で思いを募らせながら待っていることが多かったかもしれません。

エンディングテーマ「わがまま」
瑠衣の恋愛感情を表した、非常に少女性の高い楽曲ですね。
二つの楽曲に共通することは「雨」ですね。特にED映像は世界から人を消して、瑠衣の心の世界を現すことがテーマになっていると思います。
雨が降っているということは、どこか救われない、心の晴れない状況を表していますね。


さて、いかがだったでしょうか、ドメスティックな彼女。
陽菜と夏生の破滅の待つ恋愛の行く末が本筋でありますが、その中で鬱屈としている瑠衣の少女性が焦点を当てられており、その点は良かったですね。
また、サブキャラクターの葦原 美雨の奥手の可愛さや、柏原 ももの満ち足りない自分を慰める為の恋愛、夏生の親友である栗本文哉との強い友情、コメディ感あふれつつ大人の優しさをもつ喫茶店のオカママスター小林 昌樹など、サブキャラクターに恵まれた作品だったと思います。

投稿 : 2019/04/07
閲覧 : 316
サンキュー:

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