Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
俺は知りたいんだ。走るってどういうことなのか…
この作品の原作は未読です。
完走してwikiをチラ見した際に知ったのですが、原作の小説は2006年に完結していたみたいですね。
何故このタイミングでアニメ化されたのかは分かりません。
この作品は、箱根駅伝出場を目指し奮闘する大学生の物語が描かれています。
恥ずかしい話ですが、私は毎年正月に放送されている「東京箱根間往復大学駅伝競走」にあまり興味はありません。
駅伝を見るよりアニメを見ていた方が数倍楽しいですから…
だから、この作品が駅伝を題材にした作品であると知った時、正直視聴を躊躇したのは事実です。
駅伝だから…というより、この作品を楽しんで視聴できないのではないかと思ったからです。
でも、そんな事…全くありませんでした。
駅伝に興味のない自分でも強く魅かれた…登場人物のタスキを繋げようと必死な想いに心底痺れた、そんな魅力溢れる作品だったんです。
だからテーマが駅伝だからといって切り捨ててしまうにはあまりにも勿体無い作品だと思います。
この物語の主人公は、大学1年生の蔵原走(クラハラカケル)
彼は仙台城西高校で、かつては天才ランナーと呼ばれるほど驚異的なスピードでフィールドを駆け抜ける選手でした。
ですが監督と相性が悪く、とある出来事をきっかけに問題を起こしてしまった結果、陸上部は出場停止となり、本人も退部を余儀なくされてしまいました。
それ以降、陸上とは疎遠になってしまいましたが、走るのだけは止められず走り続けていました。
そんな時、カケルの走りが清瀬灰二の目に止まったんです。
振り返ってみると、これが運命の出会いだったんだと思います。
灰二はカケルを半ば強引に下宿の竹青荘に住まわせ…物語が動いていきます。
最初は駅伝がテーマだとは全く思いませんでした。
大学生同士の下宿生活…誰かの部屋に集まってどんちゃん騒ぎ…
今となっては若かりし頃の懐かしい思い出ですが、そんな時代を謳歌する若者の物語だと思っていました。
ですが、灰二が走ることを小出しで竹青荘のみんなに強要していくんです。
強要…という言葉で概ね間違いは無いと思います。
何故なら、竹青荘の住人はヘビースモーカー、自称クイズ王、漫画大好き少年など走ることに縁遠い人たちばかりでしたから…
でも灰二には夢と野望があったんです。
彼の夢と野望が、結果的にはみんなの気持ちに火をつけて箱根を目指す事になるのですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。
ですが、この作品一番の醍醐味は、みんなが箱根を目指すまでに歩んできた過程そのもの…
私は知らなかったのですが、箱根駅伝の出場資格を得るには記録会で一定以上のタイムを出す必要があるんだそうです。
竹青荘の住人は10人きっかり…
10人という人数は、箱根駅伝に出場する人数と一緒…
つまり誰かひとりでも欠けたらその時点で夢が潰えてしまうことを意味します。
だから全員が一定以上のタイムを出す必要があったんです。
努力は人を伸ばします。
ですが、人と同じだけ頑張ったとしても、同じだけタイムが縮まる訳ではありません。
当たり前です…それが個人差なんですから…
だから記録会を全員がクリアするのは極めてハードルが高いことだったんです。
それに…みんなが走るのを大好きな訳でもありませんから…
でも、彼らは越えられる筈なんて無いと思っていた壁を突破しました。
沢山の努力と…諦めない気持ちと…仲間の熱い思いが、折れそうな気持ちを奮い立たせ、止まりそうだった足を動かして身体を前に…ゴールに向かわせるんです。
10人の心が一つになった瞬間…彼らの前にはどんな景色が広がっているんでしょう…
そして彼らは箱根でどの様にタスキを繋いでいくのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
公式HPのあらすじに心に染み入る一言が書かれていたので紹介します。
「走りとは力だ。スピードではなく、一人のままでだれかとつながれる強さだ。」
オープニングテーマは、UNISON SQUARE GARDENさんの「Catch up, latency」と、Q-MHz feat. 日高光啓 a.k.a. SKY-HIさんの「風強く、君熱く。」
エンディングテーマは、向井太一さんの「リセット」と「道」
2クール全23話の物語でした。
本番のレースの格好良さ…半端ありませんでした。
目標を持つ…目指すってこういうことだと思いました。
本作品の紅一点だったハナちゃんこと勝田葉菜子(CV:木村珠莉さん)の存在も大きかったと思います。
アニメーション制作はProduction I.Gなのでクオリティも全般的に高い作品でした。
今回の駅伝もそうですが歌舞伎や落語など、普段身の回りに無いモノにものめり込める…これがアニメの魅力なんだと再認識しました。