rie-ru.2 さんの感想・評価
4.0
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
設定という煙のむこう側には、草花の咲くおとぎ話
1話で挫折しかけながらも何とか全話見終わった、けれど…どう評価すればいいのかちょっと迷いました。
なんだかんだまとめるのは上手いと思うし、狭い世界観の中で徐々に面白く見せていったのはすごい。
ただ一方で、設定ありきのアニメという意見も確かに言えている。
もちろん、その設定をきちんと尺の中で開示して終わらせるというのもさすがなんだけども。
ディストピアで退廃的な感じとかSFっぽいんだけど、よくわからないまま序盤は過ぎる。
しかし設定や世界観を小出しにしつつ、着実に何かを目指していることは伝わらせる。
そして、ラスト数話で一気に全てを明らかにさせ、同時に目指すべきものも明確に提示する。
…思ったけど、この作品って「おとぎ話」っぽいんだよね。
設定の割に登場人物は少なく、舞台は広いようで狭い。
そして最後に描かれるのは、とてつもなく純粋な感情。
今の私たちとは異なる場所、時、生命を題材にした物語なのに、呼び起こされるのはあまりにもストレートな思い。
恋愛物語なら言葉の裏に隠されるものがある。青春物語なら爽やかさの裏に隠されるものがある。
なら本作は、設定という婉曲をもって、ひとつのピュアな「気持ち」を描いてみせたんじゃないだろうか。
そう考えてみれば、最初は拙い感じのした絵や演技すら、不思議と作品に似合ったものに思えてくる。
観念的とか退屈だとか、とてつもなく狭いお話だとか、いろいろ感じ方はあるだろうけれど。
私は、「ロマンチックなおとぎ話」こそがこの作品を形容するにふさわしいと思います。