STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
安定感抜群のスポーツ王道もの
原作は未読。
スポーツものにおいて底辺レベルにいた者(たち)が這い上がっていく展開はアニメだけに
限らず、映画、ドラマ、漫画、小説なども含めて定番の一つで、加えてスポーツもの以外も
含めて、門外漢が新規分野に挑む展開も定番なもの。
先に門外漢と書いたが、主軸となる清瀬 灰二と蔵原 走にとっては再起の物語であり、この
展開もこれまた定番の一つで、いずれにしても定番ゆえに安定した話作りで、素直に
盛り上がりを楽しめる作品。
スポーツものとしての競技の勝敗などと、登場キャラの心情を描く人間ドラマのいずれもが
おざなりになることなく、バランス良く描かれていた作品。
陸上経験者が半分以上の素人集団のようなチームが箱根駅伝の本選に出場できるだけでもかなり
盛り込んだ感があり、さすがにこれで優勝、及び優勝争いに関わるような展開はやりすぎな状態。
「じゃあクライマックスはどこに焦点を当てるの?」と思っていたら、走ることの意義といった
テーマ性に踏み込むことで各人のクライマックスを描くという話作りは上手い。
寛政大学陸上部の10人はキャラがよく立っており、最初はバラバラだったメンツが次第に
箱根駅伝に向けてまとまっていく過程は魅せてくれる。
終盤の箱根駅伝の本選はキャラクタードラマとしても見事で、各区においてそこの走者が主役と
いった描かれ方。
トラブル要素としては走に対する榊 浩介の存在がある。
主人公サイドに感情移入して観ている分には非常に嫌なやつなのだが、過去の経緯を知ると
走に対する憎しみは分からぬでもない。
更に浩介の寛政大学陸上部の箱根駅伝へのチャレンジに対する批判的見方は結構、的を
ついており、視聴者の代弁者的役割もありそう。
これに似たような位置付けとしては王子こと柏崎 茜の陸上や体育会系に対する意見や、
城 太郎と次郎の箱根駅伝の目標に対する思いなども、やはり視聴者目線の印象。
もう一つのトラブル要素としてはマスコミの望月による走の過去の暴力事件の報道があったが、
こちらは大ごとに至らず。
観ている側としては一安心というところだが、逆に言えば
「わざわざ描く内容だったのか?」という感も。
男性キャラ主体というと、最近はイケメンキャラによるブロマンス的描写を盛り込んだ作品が
多く見受けられるようになったが、本作はそういった要素がなく、そういう意味では往年の
スポーツものに近い空気感も感じた。
恋愛要素はあるにはあったがぼかした展開で終わってしまった。この辺は恋愛要素を
強めることで話が散漫になるのを回避したのかな?。
唯一のヒロインである勝田 葉菜子は前述のように恋愛要素があまり踏み込まずに
終わったため、癒し枠で終わった感じ。
もっとも癒しとしては柴犬のニラの方が大きかったかな。
2019/04/03
2023/01/03 加筆・修正