ツークツワンク さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
ロードムービーとしての成長
安住の地を求めて廃墟を旅するロードムービー的作品。
なのだけれど、ロードムービーの割には道中の大きなイベントは赤虫とのバトルくらいなもので、キャラ同士のすれ違いや葛藤も起こらず淡々と目的地に向かっていく。バトルもお世辞にも面白いとはいえない。
景色も廃墟をひたすら映し出すため、どこまでの距離を移動したのかも一見では理解できないし、人によっては同じところをぐるぐる巡っているように取られてもしょうがない。
廃墟になった世界、りん達姉妹、わかば、ケムリクサ、赤虫といった謎を散りばめてそれを視聴者に考えさせようとするのは分かるのだが、メインの大筋の話やバトルが盛り上がりに欠けてしまうため、サイドの謎ばかりが主張しており非常に残念。
そして、11話でサイドであるこれらの謎を回収してしまうため、結局のところ最後はメインで勝負することになってしまう。
わかばとりりの関係を明かされることで、わかばとりんが魂で繋がっている=愛あるいは好きに繋がる……
のは分からないでもないのだが、それは結局のところ、この旅で得た絆や愛情といった後天的なものではなく先天的なもの。
つまりロードムービーとしての成長といった要素ではないのだ。
となるとこの作品自体ロードムービーではなく、謎を解決するミステリーに近いのかもしれないと思ってしまう。
以下、ジャンル違いの話になるので読み飛ばしてもらって構わない。
自分の評価の低さは、11話の流れを「アバタールチューナー」、暗い地下を旅して最後に青空を映えさせる感動を「ブレスオブファイア5」で見てしまったせいか盛り上がる部分で盛り上がれなかったのも大きいと自覚している。
これらのゲームの前にも同じような映画や小説があったに違いないだろうし、結局のところ物語というのはどのタイミングで観るかによってなのだと思う。
ただ一つ言えるのは、過去の似た物語のゲーム、あるいは小説、映画は大勢の人間が知る名作にはなりえなかった。
けもフレの成功の後というグッドタイミングでこの物語が放映されたことにより、多くの継続する視聴者を得ることが出来、結果、大勢の人達にウケたのだろう。
そういう背景を考えてみても、たつき監督というのは持っている人間なのだろうなとは思う。