HIRO さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
片渕須直監督のこの作品への熱い思いで火傷しちゃった(笑)。
こうの史代の同名漫画を原作とする片渕須直監督の2016年11月12日に公開されたアニメ映画です。
第二次世界大戦中の最中、広島市江波から呉に18歳で嫁いだ主人公すずの目を通し、戦時下で食料の調達もままならない苦しい状況にあっても生きる目的を失わず工夫を凝らして心豊かに生きる物語です。
戦時中の結婚制度が男性の嫁にほしいという一言と家同士の話し合いだけで決まってしまい。女性の気持ちは考慮されていなくなおかつ嫁は家事を行う事と後継ぎを生む存在でしかなかったことがこと細かく描かれていて周作の姉、黒村晴美から家事でできないダメ嫁扱いを受けているシーンなどは、この時代の女性の扱いを「実家に帰ればいいのに・・・」と正直思ってしまった。すず自体も自分が妹より器量がわるいと認識していて誰よりも早く起き誰よりも遅く寝る姿に思わず涙ぐんでしまった。
戦争が最も弱い立場の女性や子供を傷つけ、人の心までも殺してしまう残酷な行為であることを改めて認識させられました。又主人公すずの生命力に勇気づけられました。
この作品は、片渕須直監督がこうの史代の同名漫画に惚れ込み映画化をする為に企画を映画製作会社に持ち込むが、「地味すぎる」、「ヒットの要素が見当たらない」という理由でスポンサーが見つからず、クラウドファンディングによって作られた作品ですが、結果は動員210万人累計興収27億円で2019年4月2日時点で上映中のロングランとなりました(笑)また19年12月に30分追加した『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が上映予定。
主人公すす(のん)について:片渕須直監督はNHKの朝ドラ「あまちゃん」を観ていて主人公すすを能年玲奈に依頼すると決めていたがスタッフはレプロエンタテインメントと独立問題で揉めていた能年玲奈にすることに反対したが片渕須直監督はのんしか考えてなかったとのちに語っています。のんは決して器用な女優ではないが、作品にのめり込むタイプでセリフの情景が理解できないと片渕須直監督に何度も確認したそうです。今ではすずはのん以外に考えられない(笑)
音楽:コトリンゴさんのやさしい歌声がすずの日常ととてもマッチしてました。オープニングテーマ「悲しくてやりきれない」40年代のフォークソングが原曲ですが、ベストマッチです。主題歌「みぎてのうた」、エンディングテーマ「たんぽぽ」もよかった。
データ:
出演:のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、澁谷天外
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
企画:丸山正雄
監督補・画面構成:浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
音楽:コトリンゴ
プロデューサー:真木太郎
製作統括:GENCO
アニメーション制作:MAPPA
配給:東京テアトル
(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
公式サイト:konosekai.jp