oneandonly さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
リアリティと願望に心揺れ動いた作品
世界観:6
ストーリー:7
リアリティ:4
キャラクター:6
情感:6
合計:29
<あらすじ>
夜。逃げるように街を駆け抜ける蔵原走(くらはらかける)。
その横に、不意に自転車が走り込んで来る。
見知らぬ男が、走に向かって問いかける。
「なあ!走るの好きか!」
男の名は清瀬灰二(きよせはいじ)。
走は、灰二に導かれるまま、竹青荘という古びたアパートに辿り着く。
そこに暮らす個性豊かな9名の住人。
最後の空室を勧められ、戸惑いながらも、押し切られていく走。
まさか自分が、『10人目の男』だとは、夢にも思っていなかった…。
(公式サイトより)
今期はシーズン中の作品を、評価が高い噂があるものを積極的に視聴する試みをしており、10話までの時点で引っかかったので視聴を開始した経緯です。
1話では、{netabare}大学1年の主人公(カケル)が万引きをしてコンビニの店員に追いかけられ、そこに自転車に乗って追いかけてきた変な奴(ハイジ)に「走るの好きか?」と問われるところから始まり、寮に入ってそこが実は陸上部(既に住んでいた寮生の8人も知らされていない)で、突然、箱根駅伝を目指すことになるという。
これはリアリティ重視派からするとトンデモ展開で、1話で切った人にはとても共感できるのですが、2話以降は冷めた寮生が陸上部の活動に抵抗しつつ、ハイジの様々な戦略により徐々に本気で箱根を目指して走るようになるストーリーで持ち直しました。
リアリティに配慮すると、問題になるのが5000mを走るのに約30分かかるオージの存在(あの走りの演出では、速い人たちの2倍程度しかかかってないほうが不思議に思える)。このキャラがいる限り箱根駅伝に到達することはないことは明白であり、でもできると信じてやまないハイジ。どうなるのだろうという興味が尽きることはなかったです。
そして、カケルが自分のことだけでなくチームのことを考えるようになっていく展開も良かったです。
本作の難しいところは、上記のとおり、ランナーとしての素質に乏しいオージさんが、記録会で必要な時計を出したことの納得感が得られないところになります。他のランナーより一際遅かったので、何かしら速く走れるようになった経緯を説明してほしかったです。
新入部員が訪ねてきた時に、これがオージ脱落でも突破できるシナリオかと思ったのですが…、まあ、それを見せられてもドラマにならないので、オージをもう少しまともに走れる人として設定すれば済んだのに。
箱根駅伝回はそれぞれがそれぞれのバックグラウンドを描きながら、走ること、襷を繋ぐことに死力を尽くす作りで、良回が続きました。22話で、カケルがハイジの1話冒頭の質問に対して、好きと答えたと思うのですが、ジョージにとって「カケルもハナちゃんが好きなの?」と誤解させるユーモアでしたね。
これまで記載していないツッコミ所としては、風邪を引いて急ブレーキをかけてしまった(それでも最後まで走る根性!)神童と、翌日山下りを走るユキが同じ部屋で寝るというのは、監督もいる中であり得ないんじゃないか? と思ったことをメモっておきます。{/netabare}
最終話でも、{netabare}繰り返されるリアリティと願望の揺さぶり。寛政大学メンバーの達成感溢れる絵を描きたいのはわかるし、そうなってほしいと思うのですが、神童があれだけ急ブレーキをしながらシード権を取れるのは流石にあり得ないと思います。たまに書いていますが、モブへの配慮がないという視点で。{/netabare}
描く世界への誠実さや真摯さに繋がる部分なので、最後の最後で辛口評価に推移してしまいました。
(参考評価:3話3.6→4話3.7→8話3.8→14話3.5→16話3.6→19話3.8→22話3.9→23話3.6)
(視聴2019.2~3)