「聲の形(アニメ映画)」

総合得点
88.4
感想・評価
1521
棚に入れた
7489
ランキング
115
★★★★★ 4.1 (1521)
物語
4.2
作画
4.3
声優
4.2
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

プクミン さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

凄いアニメ!!

小学校6年生の頃、転校してきた聴覚障害の少女にいじめをしていた少年。
いじめはエスカレートしていって、過激になって行き、少女は転校。
数年後、いじめを行っていた主人公が当時いじめてた少女と再会し、その後を描いた物語。

まずこの物語は、主人公とヒロインの立場になってどのぐらい理解または共感できるかで、かなり好みが変わる作品だと思います。

以下、ネタバレ含みながらの内容と感想です(長いです)。
{netabare}
ヒロインの『西宮硝子』と主人公の『石田将也』の二人の心境がメインの物語になります。
耳がほとんど聞こえない為、上手く話せないという状況にもなっています。
その喋り方に対し「気持ち悪い」とか言っていじめに発展。更にいじめを行っても相手が抵抗しない事からエスカレートしたんだと思います。
いじめが発覚した後、将也の母親が弁償やら慰謝料やら諸々含めたと思われる金額を西宮母へ渡したところで、将也は自分が大変な事をしたと気付いたんだと思います。
その後色々あって結局硝子は転校します。

時は進み高校生になりますが、母親に対し、当時払った金をバイトやら何やらで金を稼ぎ、そっと返した後、主人公は自殺しようとしますが、その前に当時、水場に投げ捨てた硝子のノート(筆談用)を返す為に手話サークルへ行きます。
どこでその情報を得たのか不明ですが、そこで硝子と数年振りの再会。
そしていつの間に覚えたか分からない手話。
その再会と主人公の母親により、自殺は止める事になりますが、罪悪感からか、他人の顔に×印が見えるようになります。
この時は単純に、この×印は自分の事を拒否っている表現だと思っていました。
そして他人が自分の事を悪く言っているんじゃないかと思い込み、他人との接触を過度に恐れるようになっています。

話は進み、助けた人と友達になり、孤独からやや解放されていきますが、硝子に会いに行こうとしたところ、一人称「オレ」で自称「硝子と付き合っている」を名乗る人物(本当は硝子の妹『西宮結絃』)から「自分を満足させるためだけに来てるなら帰って下さい」と言いますが、まさにその通りだと思いました。
主人公の将也が硝子と接触し続けている理由は、自身の罪滅ぼし的な感じかなと、この時は思っていました。

その後の展開は、小学校の頃一緒のクラスで硝子と関わりの合った人達と再会していったりしていきますが『植野直花』という、女子でいじめに加担していた人だけは、変わらず硝子の事を嫌っており、みんなで遊園地に行った時を始め、他のところでも度々衝突します。
この女は、最後まで許せませんでした。

この植野からの言葉、更に時期悪く硝子のお祖母ちゃんが亡くなり、硝子自身が、自分がいると周りを不幸にさせてしまう、周りに迷惑を掛けてしまうと思い、花火大会の日に自殺をしようとします。
間一髪のところで将也が止めに掛かりますが、代わりに将也が落下し病院送りに。
これを知った西宮家は将也の母親に土下座、植野は硝子に攻撃。
やっぱりこの植野という女は許せんっ!!

主人公の将也が意識を取り戻した後、硝子の安否が気になり、無断で病院を抜け出し探し、結果いつも魚にエサをやっていたところで無事再会。
この時、将也が硝子に「ちゃんと謝っていなかった」という事に気付き、何をしたかったのかも気付きます。
この台詞を聞いた時、主人公は罪滅ぼしをしたかったのでは無く、単純に硝子が何を考えていたのか、何を思っていたのか、それを知りたかったんじゃないかなと思いました。
あくまでも個人の見解ですが、そう考えると、自分自身が許せなくて自殺をしようというのも納得、そして周りの人から×印が無くなったのも、自分を許せるようになったからという事からなのかなと。

一方、硝子の心境ですが、友達と呼べる友達がおらず、必死に頑張って友達を作ろうとしたけど小学校の頃に失敗。しかも相当無理をしていたと思うので、将也からいじめにあってからは、自分から友達を作る事を諦めてしまったり、恐れていたのではないかと思っています。
そんな中、当時いじめていたとは言え、わざわざ手話まで覚え自分に会いに来てくれた将也に困惑しながらも友達になりたいと考えていたんだと思います。

『なんであんなにいじめられていながら、そんな人と友達になりたいと思ったのか?』と考える人も思いますが、孤独の辛さは主人公が作中見せてくれました。
硝子からしてみると、今までの経験(多分、何度も転校、何度もいじめに遭ってたと思う)から、友達を作る事がどれだけ難しいかも理解していたと思います。
「ごめんなさい」が口癖なのも、自分が上手く喋れないからという負い目もあったんだと思います。
将也達にいじめられていた事も、硝子からは親に直接言ってない事からも、相当我慢をしていたと思います。
それでも友達を作る事が出来なかった。
そんな彼女のとって、相手(将也)の方から友達になって欲しいと言われた時は、いじめというリスクと、一番欲しかったもののメリットで相当葛藤したと思います。
実際、将也からのいじめは無く、普通に優しく接して貰っていて本当にうれしかったんだと思います。

仲良くしていくうちに、彼に好意的になり「好き」とまで言ってしまいましたが、硝子がプレゼントした品や、彼に伝えた言葉が『好き』という単語のみからも、彼女の精神年齢は実年齢よりかなり低いのではないかと思いました。
理由としては、心が許せる人は家族のみ(一応手話サークルの人もいるとは思いますが)という環境で育った彼女は、どうしても他者よりコミュニケーション能力が下がってしまいます。
なので、ここでの好きは恋愛的な面よりも友達としての『好き』の意味合いが強いのではないかと思いました。

最後に植野ですが、彼女は最後に『バカ』を手話で伝えます。これは彼女なりに自分から硝子へ歩み寄ろうという意思表示と受け取りました。
まあ、好きになれませんけどね。
{/netabare}

作中出て来るキャラは、どうにも癖が強く、植野と自称親友を名乗る永束だけが最後まで好きになれませんでした。
硝子と結絃は好きでしたけど、それ以外は微妙という事で、キャラ評価は3.5。
音楽については、EDぐらいしかなかったので、これも3.5。
ただ、物語や主役二人の心情はこれ以上ないぐらいに完成されており、声優(主に硝子)の演じ方も、一言一言が胸に響くものでした。

設定が『障がい者』『いじめ』と、作品として受け入れにくい要素があるのに、ここまで良い方向へ辿り着けた事に、ただただ凄いと思いました。

そんな作品とは裏腹に、レビューを上手くまとめきれず長文になってしまい、申し訳ありません。

投稿 : 2019/03/25
閲覧 : 579
サンキュー:

30

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