退会済のユーザー さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
答えが解らない「今ここ」を生きる僕たちの物語
作品ラスト5分でしんのすけがケンとチャコに言った「ずるいぞ!!」の一言で僕はいつも泣きそうになる。
子供が、何も彼も捨てて逃げようとする大人に対して放った一言である。
ケンとチャコは何から逃げようとしたのか?
それは端的に言えば「未来」である。大きな物語が終焉し、何を信じていいかわからない現代において、彼らは確実な「過去」を選んで拠り所としようとした。つまりケンとチャコは「未来」の不確実な指標のない「可能性の世界」から逃げようとした。とともに「今ここ」の自分を否定して過去の自分に戻ろうとした。
対して、しんのすけは子供であり過去の蓄積が乏しい存在である。そんな彼にとって未来は希望であり「可能性の世界」なのである。子供であり未熟な存在であるしんのすけが、それでも不確実な指標のない「可能性」にベットすることに鑑賞者は未来の希望をみる。
人間は遠い過去を振り返る時、その記憶が良いもの悪いもの含めて、歩んできた道を「今ここ」に自身が存在している点において肯定し懐古的になってしまう。しかし本当に大切なのは過去の蓄積や「今ここ」にいる私を未来の自分や可能性にベットすることだと私は思う