マニャン さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
何か色々惜しい作品
感動と恋愛とスポ根が混ざった、いや、混ざってしまった作品。
等身大の中学生を描いた作品で、心の機微が丁寧に描かれている。
悪く言うと{netabare}グダグダ逃げてばかりの主人公をヒロインが力技で立ち向かわせ続ける{/netabare}作品。主人公は漫画の主人公としてカッコいいわけではなく、あくまでも等身大の中学生ですごく魅力的とは言いにくい。
主人公に熱意や激情があれば恋愛やスポ根部分が盛り上がったかもしれないが、主人公はピアノが上手なだけでどこにでも居そうなおとなしいタイプで盛り上がらず。
おそらくこのストーリーを楽しめるかどうかは、感動部分で感動できるかが鍵。皆さんおっしゃる通り最初からオチがバレバレなので、それでも楽しめるか。
主人公の成長具合も等身大中学生で控えめで、成長による感動は感じにくい。
心の機微が丁寧に描かれているが、逆に言うと冗長とも言えるストーリー展開。
それを飽きさせずに最後まで視聴出来たのは、音楽と映像の素晴らしさ。
キャラクターの豊かな表情や、
演奏時の音楽と映像の融合、
たまに綺麗な一枚絵など手抜き技を使いつつも、見せ場ではしっかり丁寧に描き込んであって、とても上手な緩急の付け方でした。
映像と音楽のために見るなら損は無いと思います。
以下ネタバレで感想など。
{netabare}ラストは綺麗にまとめてあって、観た後モヤモヤが残らないので高評価になりやすい展開。
母親の子供に対する想いの部分は感動した。
苦しくても音楽のために頑張り続けるしかない、というヒロインからのメッセージを受け取った主人公が、頑張るのをやめたヒロインに頑張れと音楽でメッセージを伝えるところが、主人公の成長したところとして描かれている。しかし、ヒロインの頑張りは最後までグダグダな主人公を励ますために役に立っただけで、ヒロインが報われることはない。
ヒロインが自分で言っているように余命少ない人間に最後まで頑張れなんて本当に酷い話。
ここで素直に、無気力で死を待つだけだった少女の人生の最後に色どりを与えられたとヒロインの両親みたいに受け止められれば感動できて良かったのでしょうが、私には無理でした。
猫が人間によって不幸になる展開は現実だけで十分。フィクションでは見たくない。
しかも主人公のトラウマと重ねて何度も出てくるので非常に不愉快でした。
主人公がヘタレなので最後まで告白出来ず、彼女からの死後の手紙で相思相愛を知るというのが、なんとももどかしい。
ご都合主義とかハッピーエンドとかではなく、非常に現実的な描かれ方をしてて、そこが好きな人には評価が高そうなのに、ヒロインの病気に関しては全然情報公開がなく、限りなくフィクションなんですよね。
モヤっとしますし、初期にヒロインは死ぬ病気だなと見えてしまうとそれ以上の情報公開がなく、ああやっぱりで終わってしまう。
こういう病気だと少しでも情報公開があればそうなのかって驚きがあったり感情移入がしやすくなったと思います。
例えば手術でヒロインが延命して、主人公とまた合奏できて、相思相愛を知って、主人公に支えられて、色々報われてからみんなに囲まれて亡くなるとかなら個人的満足度高かったかもです。ついでに高校でバリバリ音楽やってスポ根成分補充して、活躍する主人公をヒロインと視聴者が見れるとか…
ヒロインは無償の愛を提供して、その分思い出は出来たかもしれないけど、もう少し報われて欲しかったな、
主人公もっと最後くらいしっかりして欲しかった、
というのが正直な感想です。{/netabare}