「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない(TVアニメ動画)」

総合得点
95.2
感想・評価
1844
棚に入れた
7813
ランキング
3
★★★★☆ 4.0 (1844)
物語
4.0
作画
4.0
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

rie-ru.2 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

自分なんて嫌いでも良いのです

3話終了までは我慢が要るかも、と個人的に思う。
あと、主人公である咲太のアレな下ネタは無くて良いかな。
ちょっときついです。
だんだん減ってくるからいいけど。



特筆すべきは双葉理央(メガネの子)と咲太の妹のエピソードだろう。


{netabare}
●自分嫌い

理央は自分が嫌いだ。それゆえ「自傷行為」に走り意思が分裂した。
「私と繋がって」という心が積極性と消極性に分かれたのだ。
積極的意思は友情により問題なく救われる。けれどもう一方は?
「人と繋がれない自分が嫌い」な、内にこもる消極的意志はどう救えばいいのだろう?

咲太の言葉、つまり本作の解答はこうだ。『自分を好きにならなくていい』

冷たい言葉に思えるかもしれない。
だがその奥にあるのは『自分を嫌いという感情を否定するのではなく、肯定すること』だ。
さらに咲太は言う、「僕も自分なんて好きじゃないが…」
この台詞からも伺えるように、何よりも彼女には共感が必要だったのだ。

思春期をあるがままに受け止めること、それを分かち合える相手がいること。
その重要性を示したエピソードだろう。
…最後に、「咲太達が女子ならよかったのに」と理央がつぶやくところが、ほんの少しだけ性別の壁を感じさせられるようで苦い。



●喪失にて

咲太の妹、かえでが登校しようと苦闘するエピソードについて。
もう散々言われてるだろうけど、その真摯さは本作の妙なタイトルからは予想できないものであったはず。

自意識過剰な人、他人の目が気になる人、内向的な人、かえでと同じような状況の人…
そんな方にはかえでの姿が身につまされるように感じたのではないか。
そして彼女を支える咲太は、立派に主人公だった。

けれどもその目標にはタイムリミットがあった。
「死」ではないものの、人格的には同義といってよいだろう。
それらは「喪失感」により涙を誘うものであるが、ただ単に形をなぞるだけではお涙頂戴と貶されてしまう危険性もある。

翻って本作は、咲太に支えられながらかえでが頑張る様子が、残り少ない時間を必死に生きた彼女の姿が克明に描写されていた。
最終話、咲太の放心と慟哭に思わず涙ぐんだ視聴者は私だけではないはず。
きちんと過程を描いたからこそだろう。

そして素晴らしいのは、その喪失が喪失で終わらないこと。
咲太はこれをきっかけに麻衣と喧嘩し、けれども仲を直してより絆を深め。
目覚めた”花楓”は日記を読み”かえで”とそれを支えた兄のことを知る。


そうした彼女のエピソードは、最終回にふさわしい喪失と新たな始まりを描いた見事なものだったと言えるだろう。
{/netabare}


以上、ネタバレ全開レビュー。
タイトルで切るにはもったいない作品だな、と思いましたとさ。

思春期?自分が嫌い?私はそれでも良いと思う。
それだけ自分が見えているってことなんだろうから。

投稿 : 2019/03/15
閲覧 : 283
サンキュー:

18

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