kurosuke40 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
蘇れ
謎の敏腕営業、巽幸太郎が伝説のメンバーたち(+さくら)をゾンビとして甦えらせ、なんやか↑んやでアイドル活動をするお話。
そして、終わってみればプラトニックな愛のお話でした。ギャグメインだけどね。
私たちは無いものに捕らわれる。
それはあるときはアイドルとして未来の生き生きしている私の姿だったり、失った記憶を取り戻せば得られるはずの生き生きした私だったり、どうせ失敗する未来の私だったり。
それは今の私ではないけど、私が行動するとき、私の起点になる。
さくらは本来は2話のラップで魅せたり、たえちゃんを必死に指導したり、熱い心を持っている。
だが、記憶を取り戻した彼女は冷めている。電気檻に封じ込められた鼠のように。
彼女はもはや檻に電気が流れてなくても動き出せず、失敗する自分の姿と、時折りなれたらよかった生き生きとした私を脳裏に浮かべながら無為に時間を過ごすしかない。
そのようなものに捕まえられないように、幸太郎はさくらを記憶喪失でよみがえらせたのだろう。
彼は一度も記憶喪失について触れてなかった気がする。
そして、さくらと同時に蘇らせた、いわゆる"持っている"人たち。
記憶を取り戻したさくらを引っ張り上げるだけの実力と心意気をもった人物たち。幸太郎はさくらを彼女らと一緒のグループに組ませる。
個の弱さをグループで補う。
ゆうぎりの「さくらがいなくて成功するよりも、さくらがいて失敗したほうがいい」など、なんて厳しく温かい言葉だろう。
ゾンビとしての肉体の再生はなんやかんやの一言で片づけられたが、
12話を使って蘇らせたのはさくらだった。
甦らないといけないのは身体だけでなく、彼女の心もなのだ。
OPで問われる「死んでも夢をかなえられる。それは絶望? それとも希望?」
きっとその答えは、心が甦っていれば希望、死んでいれば絶望、なのだろう。
ゾンビランドサガは、終わってみればさくらのためにこのような舞台を用意する幸太郎の愛の話だなと思う。
彼のダブルバインドの会話は、個人的にイラっとして笑えなかったのだけど、
さくらと距離をとるために、わざとああいう立ち位置にいると思うとちょっとかわいいかもしれない。
こういうテーマはやっぱり好きだな。終わりまで幸太郎の愛は見えにくかったけど。
良い良い。
蛇足
そういう(昭和のアイドルという)キャラとして生きろ、現代的だなー。
昭和のアイドルってあんなにパワフルな歌声だったっけ。
結論ありきで話を聞いていないゆうぎりさん。