101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
武器商人の飛翔
原作コミックは未読。
世界各国で暗躍する武器商人グループの女ボスと、武器商人を憎悪する少年兵が旅をする。
と言うどっかの火薬庫のような一触即発の基本設定。
紛争地帯や武器取引ビジネスの修羅場を彩る登場人物たちも、一筋縄ではいかない曲者揃い。
単純にイカれているだけなら、あまり近寄らないようにするか、即処分するのみですが、
本作の場合は知性の中に狂気を秘めた連中が、駆け引きを繰り広げるから質が悪いですw
曲者同士が火花を散らした結果、現出する地獄の描写もハイテンション♪
女武器商人の目的は一応、世界平和らしいので、
本作も広い意味で反戦作品ということになるのでしょうが、
戦場をとことん悲劇やトラウマとして描写して人類に猛省を促そう。
と言う意図があまり感じられない点も反戦物としては異色。
血がたぎる戦闘シーンを眺めていると、
頭脳戦がハマった時に出る脳内快楽物質も含めて、
不謹慎にも段々キモチヨクなってくるのがヤバイですw
やはり人類は快楽本能が満たされる戦いをやめられないのではないか……?
そんな着想が浮かんでくる辺り、常識とはやや角度が異なりますが、
戦争に対する問題意識は本物であるようです。
確かに女武器商人は、泥沼化した紛争地帯で軍人がなりふり構わず武器を求める、
死の商人にとってのフィーバータイムには乗らず、
武器商人なりのやり方で戦闘を収める立ち回りを見せたりもします。
けれど、結局、武器の取引で有事の一部となっている以上、
女武器商人もまた同じ穴のムジナなのではないか?
唐突に投げかけられた無邪気なツッコミに対して、
はぐらかす彼女の真意は分厚い笑顔に阻まれて、
1期では見えて来ません。
そもそも彼女が武器商人を憎悪する少年兵を連れ回す酔狂の狙いとは?
彼女が大局観を持って何かを企てていると伝わってくるからこそ、
謎もスパイスとして効いてきます。
そんな取り扱いに難儀する劇物を、
毒の扱いに長けたスタッフ、キャスト陣が
慣れた手つきで上質な毒アニメに仕上げた。
武器なき世界平和への道も茨の道ですが、
武器による世界平和への道もまた修羅の道。
同じく中毒性の高い川田まみさんのOP主題歌も脳天を直撃し、
めくるめく国境なき武器商人たちの世界へと、思考が拉致されていく……。
危険ドラッグの如く刺激的な、飛んでるオトナアニメです♪