二足歩行したくない さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
エンディングテーマがとても楽しい
富野の御大が満を持して、∀ガンダムから15年ぶりに制作に携わった作品。
前作のガンダムAgeの商業的失敗を見かねたのかはわかりませんが、ガンダム作品にしてはわかりやすすぎるストーリー展開をしていたAgeとは対象的に非常に複雑な内容となっています。
物語スタート時点でアメリアとゴンドワンという2つの対立した国家があり、そことは別に軌道エレベーターを保守しているキャピタル・テリトリィという地域がある。
アメリアは軌道エレベーターを独占しているキャピタルに対し異議を唱えていて、主人公の「ベルリ・ゼナム」はキャピタルの自衛組織であるキャピタル・ガードの候補生、もうひとりの主人公である「アイーダ・スルガン」はアメリアの海賊舞台に所属する少女の物語となっています。
キャピタルにはキャピタル・ガードとは別に武闘派のキャピタル・ガードという部隊が存在し、また、物語が進むごとに思惑と立場をもった色々な人々が登場し、最終的には混戦状態となります。
"どこ"と"どこ"が"何のため"に戦争しているという説明が簡潔にできない内容になっていて、大変複雑でわかりにくい作品になっています。
評価が非常に難しい作品です。
前述の通り、思想を持った複数の組織、人々がそれぞれの理由で戦っていて、さっきまで手を繋いでいた人が次の瞬間にはモビルスーツで殺し合っており、今がどういったシーンなのかがとてもわかりにくいです。
会話では専門用語が飛び交っていて、今追っている物語の裏で別のストーリーが並行して動いていており、DVDで一気に見ているはずなのに話に全く追いつけませんでした。
ストーリーについては解説しているサイトが多数あるので、視聴時にはそれを読んで理解しながら見ましたが、もはやアニメを見ずにウェブの情報だけ読んだ方が良いんじゃないかというくらいアニメでの内容が頭に残らなかったです。
ただ、理解すればよく練られた面白い作品で、場面転換が怒涛のように行われるため、理解が追いつけば1話1話が大変短く感じると思います。
また、富野由紀夫らしい作品で、作品の雰囲気やいわゆる富野節と呼ばれる独特な掛け合い、台詞回し、そしてセル画のようなビジュアルが大変懐かしく感じられ、内容が分かる分からないはともかく、最後まで楽しむことができました。
ただ、そうは言っても、やっぱりストーリーが頭に入らなかったです。
Ζガンダムもそこそこ複雑でしたが、本作はその比じゃありません。
そもそも主人公の主観はどこにあるのか、なぜモビルスーツに乗って誰と戦っているのか、あらすじを読み返したのですがやはりよくわからなかったです。
悪い作品ではないのですが、本作は富野由紀夫なガンダムを待ち望んでいた人向けの作品で、一般的には楽しめない作品と思いました。
2クール作品。
内容的にもう1クール伸ばせそうなのですが、この密度の高さも富野テイストな気がするので、長さについてはいいかと思います。
それと、本編は視聴をおすすめできないですが、エンディングテーマがとても楽しくて、そこだけは毎話飛ばさずに楽しみにしていました。
エンディングテーマおすすめです。オープニングはほとんど本編映像の使いまわしで残念。