101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
小学生満開!!/勇者御記
(前半)-鷲尾須美の章-
1期の前日譚となった前半戦。原作小説『鷲尾須美は勇者である』は購読済。
かつ見るには覚悟が要る内容だと分っていたので、
思い切って視聴しないで、後半だけ見る選択肢も考えました。
けれど、本章のクライマックスはシリーズでも屈指のヤマ場。
飛ばしたくないし、飛ばせませんでした。
何かレビュータイトルがエラいことになっておりますがw
だって三人の小学生勇者の奮戦こそ本作の真骨頂なのですから仕方ありません。
とりわけ{netabare}瀬戸大橋の戦い。その中でも特に“漢”三ノ輪銀の生き様を刮目して見届けようと、
涙腺決壊をこらえながら決戦に挑みました。
もっとも本章の本当のクライマックス&泣きポイントはその戦いの後。
英霊となった勇者の葬儀、初の本格的映像化からの、
式中のバーテックスの非情なる急襲で、私の涙腺は敢えなく決壊しました。{/netabare}
こうして今まで詳述されてこなかった設定を丁寧に映像化されると、
改めて本シリーズの社会システムはエグいと痛感します。
本章でも「大赦」は相変わらずの憎たらしい大人ぶり。
{netabare}カニ喰わせておけば何やらせても、隠蔽しても許されると思っているのか?
葬儀にまでお面付けて来て、無味乾燥な弔辞を述べやがって。{/netabare}
といった感じでヘイトが増量されて行きます。
(後半)-勇者の章-
1期の後日談となった後半戦。
本章でも「大赦」は相変わらずの憎たらしい大人ぶり。
{netabare} 過去、現在、未来と息をするように嘘を付き続ける。
もう何も隠さないと言って平然と隠し事をする。
やはりお面は外さない。面と向かわずに「お役目」を告げる失礼千万。
そんな連中に救済など訪れるはずはありません。{/netabare}
設定の詳述という面で、興味深い、かつエグいと思ったのは、
「勇者御記」作成の様子を映像化してきたこと。
「大赦」検閲済のこの勇者たちの記録は、これまでも頻繁に墨塗り文書などの形で提示され、
謎が深まる考察対象となって来ました。
でも今回「勇者御記」が改めて残酷だなと思ったのは、
筆者が第三者ではなく、過酷な運命を背負った少女自身であると言うこと。
その風習には記録を後世に残すという意味合いに加え、
口外できない「お役目」と言うストレスに直面した勇者に、
ぶつけどころのない心情を書き殴らせることで、気休めのガス抜きをする。
という側面も垣間見え、悲劇に拍車をかけています。
一方で「神樹」様や天に対しては私はそれほど怒りは沸いてきませんでした。
結局、神はその時々で人間たちに与えるにふさわしい在り方を見極め、
授けているに過ぎないのではないか?そんな神性すらも感じました。
こうした神の試練みたいな筋書きは大嫌いなはずの私ですが、
それ以上に本シリーズでは「大赦」みたいな性根の連中に、
ホイホイ楽園や奇跡の力を与える危険性を感じてしまうんですよね……。
こりゃ人類に試練でも神罰でも与えつつ慎重に賞罰を検討しなければ、
それこそ世界の危機です。
特に{netabare}肉体を喪失した「大赦」の面々{/netabare}を目撃した時は、
人の意志こそが世界を招いていると悟った気分にさせられました。
1期で今ひとつ腑に落ちていなかったラストについても、
これも勇者たちの意志の結果だったのだろうなと納得度がアップしました。
(総括)残酷な少女勇者の運命と、ユルい日常を対比させ、
人間として普通の日々を生きるかけがえのなさを再認識させる
本コンテンツの特徴が出た、良い2期目だったと思います。
とは言え、タカヒロ作品の日常シーンの掛け合いは、
相変わらずカオスで折り合いに苦労します(苦笑)
本コンテンツは本作前半戦のさらに過去を描いた
小説『乃木若葉は勇者である』なども展開していて、
挑んでみたいとは思っていますが、
個人的にこのシリーズはノベルの文体もどうも苦手でしてw
願わくば映像化してくれたらありがたいです。