退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
見終わった後モヤっとする人に読んでほしい俺的解説
なぜ多くの人がモヤっとすると受け取るのか?
答えは簡単で一幕、二幕と違って三幕は主人公自身が自らの心情を言葉であまり語らず感情移入しにくいからだ。
その為、鑑賞者は映像から主人公の心情を読み取らなければならない。
また言葉で心情を語る一幕二幕とのギャップで映像が読み取りにくくなっているためであると考えられる。
ではなぜそのような演出ななっているか?
なぜならば一幕二幕では「代替え不可能で絶対的な恋愛体験」について主人公自身が理論先行で思考し肯定しようとするためだと思う。ゆえに葛藤は演技として喋らない頭の中の言葉で自分自身が語られる。
しかし三幕では主人公の成長によって社会に放り込まれ「代替え不可能で絶対的な恋愛体験」について思考し肯定する暇もなくなる。主人公は気づけば「代替え不可能で絶対的な恋愛体験」が不可能だったことに気づきはじめ思考しなくなっていく。主人公は主観的な自分から客観的な自分へと少しずつ変化していき自分語りは減っていくため言葉で自身を語らない。
それでも過去の恋人の影を追い求める。
そして怒涛の結末エンディングを迎える。
春という季節のモチーフや
鮮やかで明るい色
肩の力が抜け
踏切が上がるシーンで微笑し
靴がアップで写され
地に足の着いた大人として振り向いて過去と決別し
前を向いて歩いていく
主人公は、自分の心の中にあり「代替え不可能で絶対的な恋愛体験」を今となっては実現することが不可能だと肯定し大人になって前に進んでいく
これはある種の喪失感を伴い過去の束縛からの解放を意味する
だからこそ淋しくもさわやかに感じるなる
だから私は、五センチメートルを繊細な主人公が長いあいまいな失恋を経験し幼少期の終わりを迎える話だと思っている。
決して憂鬱なアニメではなく。憂鬱を乗り越えて一歩前へ大人になるアニメ映画なのである。
だからこそ一部の鑑賞者には強烈なノスタルジーに苛まれるのである。