GOSR さんの感想・評価
2.3
物語 : 3.0
作画 : 1.5
声優 : 2.5
音楽 : 2.0
キャラ : 2.5
状態:途中で断念した
名作の強みを殺してしまった残念アニメ化
原作「五等分の花嫁」は何故面白いのか?
キャラクターが皆個性的で、心理描写が秀逸。
さらに独自性として「五つ子で、見分けが困難」であり、姉妹に変装されると主人公も読者も一目では判らず、それが「誰」なのかを類推していくことになる。
特に物語冒頭で主人公が5人の内の一人と将来結婚することが明示されており、やはりその「勝利者」が誰なのかを自然と読者は常に推理させられる。
これが面白い。
読者のお気に入りの子はそれぞれ異なるので、その子に幸せを掴んで欲しいと思うのは自然の事。この応援の気持ちがより物語に没頭させてくれるのだ。
一花の「華やかさ」と「控えめで奥手」のギャップにやられ応援しつつも、しかし三玖の高校生らしい正道の恋、二乃のド直球も魅力的で、だから余計に勝利への困難さに熱が入る。
夢中になる。
皆がそれぞれ魅力的でも「五等分の花嫁」なので勝利者は一人。
誰だ。誰が指輪を手にするのだ。
五つ子だからこその推理。これがこの作品の肝であり、面白さの根幹だ。
で、そんな名作のアニメ化。
期待をする。
しかし衝撃。
髪の色が違う。それぞれ声優が違う。
……? ……!?!?
いやいや、どうなっているの。そんなことしたら推理なんてしようがない。
一目瞭然だ。もう五つ子であることがただの設定になる。
これらを演出とすると、しかし主人公と視聴者の見ているもの、聞いているものが実際は違うという事になり、没入感を強く阻害する。
瞭然なものが主人公が判別できなければ阿呆に見えてしまうし、変装で声も髪の色も変わってしまったら、まるで姉妹はルパンだ。
アニメとして判り易くするというメリットの為に失ったものは巨大だ。
控えめに表現して、名作を凡作に、個性を記号に貶めた。
このアニメ化は、原作から「女の子がかわいい」というほんの表面しか抽出することが出来なかった。
もしこのアニメしか見ていない方がいるなら、原作こそ手に取って欲しい。アニメとは全く別の面白さがある事を保証する。