ツークツワンク さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」という演劇
演劇学校に通う女の子達が願い事(メインキャスト)をかけてバトル(オーディション)を行う某ライダーや魔法少女フォロワー的作品
あらすじと1話見ただけで血みどろの殺し合いするんだろうなと思いきや、バトルを終えても和気あいあいの日常パート。死人は出ないし、敗北してもデメリットがない。(終盤で明かされるまで)
お互いに勝ったり負けたりで各キャラの強さのランクがはっきりしないし、精神力の上回った方が勝つというご都合主義的バトル。
バトル物だと思って前半部分だけ見ると視聴をやめてしまってもしょうがない。
根本のストーリー自体も幼馴染同士で一緒に舞台に立つのが目的というアイドル作品のテンプレである。
しかし、「アタシ再生産」の変身バンクや舞台装置の稼働シーン、ミュージカル調の戦闘といった見ていて飽きない演出の凄さはセンスの塊。
作画の美しさや日常パートのギャグや会話も小気味良く、視聴を続けることが出来た。
最後まで見ても雰囲気だけで抽象的な部分も多いのだが、リアルの演劇もそんな感じだよねという他の方の感想には同意。
あくまでこの作品自体が「少女☆歌劇レヴュースタァライト」という演劇であり、作品内の彼女たちの思惑がどうであれ、ご都合主義的バトルや抽象的な部分も全て視聴者へ向けた演劇なのだろう。
7話でループキャラを出したことで話題になったが、他の作品におけるキーパーソンですら、あくまで舞台装置の一つとして取り込んでしまうといった意外性。
願いを叶える狂言回しのキリンも、安易に他の作品みたいなヘイトを稼ぐキャラではなく、観客としてこの作品を見ている視聴者と重ねられているのが良い。最終話で熱狂したキリンの演技はそれまでのフラストレーションすら吹き飛ばしてしまった。
演出、作画といった点については褒めるべき点も多いのだが、根本のシナリオ自体はテンプレ気味。肝心な部分は抽象的でイマイチと言われてもしょうがない。
しかし、シナリオはどうであれ、演出や表現力が近年のアニメ作品の中で抜きん出ている。
監督の次回作があれば是非視聴したいと思わせるだけのエネルギーを感じるアニメだった。