たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
アニメーション進化論
アカデミー賞のアニメーション部門を受賞しているということで、改めて「スパイダーマン スパイダーバース」を考察すると、
この作品は非常に日本の「同人誌」的である。
「スパイダーバース」ではスパイダーマンは「6人」登場し、
一人は1960年代から存在するピーターパーカー。
二人目は1930年代のフィルムノワール探偵風のスパイダーノワール。
三人目はカトゥーン世界からきた喋るブタことスパイダーハム。
四人目は日本人の女子高生で萌えアニメ的キャラクターのペニー・パーカー(日系)。
五人目はピーターパーカーの彼女であり、近頃復活を果たしマルチキャラクター化しているスパイダーグエン。
そして、六人目は二代目スパイダーマンこと黒人少年のマイルズ・モラレス。
これらのキャラクターは、全て平行宇宙(多元宇宙)からやってきた別々のスパイダーマンであり、個々に特徴が違う。スパイダーノワールは白黒映画のような出で立ちだし、ペニーパーカーは日本のアニメ調の女の子。スパイダーハムに至ってはカトゥーンのブタである。
これが一同に同じ世界に存在し、世界観もちがければ、物理法則も全く異なるアニメーションのキャラクターがきちんと描き分けられているのである。
こういう手法はなかなか画期的で、アニメーションでは世界観統一やらキャラクター統一というものを行うのだが、この作品に至っては全てバラバラにCGによって描き分けている。
なので当たり前だが、画面がカオス状態なのだがその状態をコミック的に整理し一種の同人誌的なパロディ化しきっているところに最大の特徴がある。
日本がアニメや漫画で培ったことをかくも平然とフルCGアニメーションにされると、これこそ2.5次元ならぬ「3.5次元」のような快感があるのである。これはアカデミー賞をとっても間違いはないだろう。
すごい進化の仕方だ。日本のアニメではせいぜい萌えキャラをCGで描くような(「ケモノフレンズ」的)なものが精一杯だろう。