たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
我々の社会のシステムや電子が星を覆い、国家や民族という概念がなくなったとしても。。
「人間」の感情さえ劣化しなければ、社会は回るのだと思います。
今回のOVAの2作目は非常に素晴らしかった。
まず、サイバーパンクにありがちな暗い背景をなくして、自然や民家の背景を差し込んできたことで、非常にカラフルで開放感があり、お話自体が暗く陰鬱なのに対してそれを対比する形が非常に良く描けていた。構成が非常にうまい。
キャラクターに対しても、極力アニメ的なデフォルメを排して、IG的なリアルタッチ(アメコミタッチ)で表現しているのはトレンドとしてもよい感じがする。
いい意味で天野明の影響がなく、現実味が増している。
さて、ドラマに関しては実はプロダクションIGお家芸の「劇場版パトレイバー2」に相当するクーデターもので、目新しさがなかったが、今回は「パトレイバー」から始まったプロダクションIGのサイバーパンクものの一種の回答を指し示していて、それが非常に説得力のある人間的な結末に至っているので、素直に感慨深かった。
特に、今回の事実上準主役であり、これが遺作となる有本欽隆さん演じる征陸智己というキャラクターの演技、作画、セリフ全てが物語る「人間にとって一番大切なものとはなんなのか」という答えが、この作品を1ランク上の段階まで押し上げている。
本作はそういう意味で最近のアニメには珍しいタイプの骨太で中身のある作品です。
IGは今回かなり勝負に出てた気がします。