ぺー さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
1998年って何してましたっけ?
オリジナルアニメ劇場版
『東京ゴッドファーザーズ』が面白かったこともあり、続いての今敏監督作品2本目を視聴。とりあえず公開年度順に追っていこうと思います。
初めにお断りすると、作品内容には触れたか触れてないかよくわかんない感想なのできちんとしたのをご希望ならば他の方のレビューをあたったほうがいいです。
それでは、
アイドルグループの一人(ヒロイン)が女優に転身を図り、どうかと思う仕事(いわゆるヨゴレ)をやってるうちに、気持ちと反比例して評価は上がりーの、となると精神のバランスが保てなくなって、、、
とあらすじ見ててもサイコ感プンプンな本作。普通の娘さんが壊れていくさまを見るのは忍びないがこれもまた真なり。という物語です。
仕事が女優とあり劇中劇としての撮影シーンと物語がシンクロする構成です。81分の上映時間ながら密度は濃ゆいと思われるサイコサスペンスの良作でした。
公開は1998年です。
“解離性同一性障害”
“ストーカー”
“インターネット”
現在では一般化した言葉も認知されたかどうかといったお年頃。
解離性同一性障害は1995年のビリー・ミリガンの事例を境に認知されだした言葉でしょう。桶川ストーカー事件が発生するのは1999年。また通信費の兼ね合いでインターネットを利用する人は限られてました。
ISNテレホーダイが最新鋭の回線サービスで、それでも通信速度はISDNの128kbps程度と、スマホ月々〇〇ギガの足元にも及ばぬしょっぱめの環境で、せいぜい竹野内豊主演『WITH LOVE』でのメールのやり取りできゅんきゅんしてたのが1998年なのです。
さらにアイドル冬の時代。安室奈美恵全盛期で10代のSPEEDはアーティスト寄り。アイドル系譜のモー娘はまだモーニングコーヒーを飲んでいて、日本の未来にYEAH!YEAH!するのは翌1999年だったりします。
も一つ脱線すると、宮沢りえの『Santa Fe』(1991年)で“ヘアヌード”というエロの表現方法が提示され、その後玉石混淆の写真集が出尽くして菅野美穂の『NUDITY』(1997年)で一区切りをつけた時期でもあります。
ストーカー一つとってみても、本作ヒロイン未麻ちゃんがちょっと脇が甘く見えてしまったり、事務所もう少しガード固めろよとツッコミを入れたくなりもします。しかしそれはリアリティの欠如ではなくこれがこの時代のリアリティだと言えましょう。
時代背景の色が濃く出てるため古臭くも感じますが、同世代を知る者には懐かしく、一方で、扱うテーマが人間の内面であり、作品が持つ時代の先取り感がハンパなく、今をもってしても色褪せない力強さもあわせもっているのでした。
短い時間の作品なのであまり内容には触れまいと思いつつ二点ほど。
■普段は二次元のエログロは平気なのですが・・・
よくグロい表現があるので閲覧注意!ってありますけど、アレ全く気になりません。「所詮二次元じゃんへーきへーき」と思う人です。実写の比ではないからです。
エロにしても二次元に欲情した経験はありません。めんどくさくて思い通りにいかない現実の女性が魅力的だと思う人でもあります。
そんな自己紹介は不要とお叱り受けそうですが、今回はそのエロのほうで惹かれるところがありました。{netabare}脱いだ時の{/netabare}肉の付き具合と体のラインが現実のそれに近い。心の動きは言わずもがなです。
■乖離する人 同調する人
サイコはサイコでとても人間くさい登場人物たちです。
まさに映画公開された頃合いは、学生ながら夜な夜なお酒を提供しお客さんの話し相手をする側におりました。※ホストやキャバクラのボーイではありません
客にはキャバ嬢さんや音楽関係の人が多く、売れないアイドルも付き合いで来店という空間です。
それでですね。。未麻ちゃんみたいな子は実際いるんですよね。{netabare}ルミさんもしかりです。{/netabare}この作品を観ても二人ともメンヘラの一言で片付けられないんですよね。
人間って実際こうだよな~と感じます。陳腐な物言いですが“リアル”ということなんだと思います。
一方でアニメである必要がどれだけあったかはよくわかりませんね。
あえてアニメ的表現ぽかったのは、{netabare}妄想アイドル{/netabare}未麻ちゃんの軽やかなステップぐらいでしょうか。実写ではCGじゃないと難しい動きでした。
{netabare}となると軽やかに追跡してた“中の人”は動けるデブってこと? きっと日夜トレーニングに励んでたかもしれない!と思うと怖さも増します。{/netabare}
本作公開から20年。実写・アニメ問わず゛虚実ないまぜ” 似たようなプロットの作品に触れてきてる身としては既視感を覚える作品ではあります。こっちが先だよというのは置いといてですよ。
1998年でヒロインが21歳の設定ということはおおむね自分と近い世代です。同年代の女の子がWINDOWS OS('95か'98)に四苦八苦している様がむしろ印象に残りました。あー、俺と一緒やん、と。
勝手に小難しそうな作品を作る監督かも?とイメージしてましたが見やすくて面白かったです。
さらにご新規さんはもちろんリピートさんも着目してみると1998年という時代が透けて見えてくるでしょう。この点は本作の付加価値です。
2019.02.15 初稿
2019.08.03 修正