lll1 さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
音楽の使用が少ない。
一番よかったところは音楽の使用が少なかった事。
最近のテレビアニメやテレビドラマは必要以上に音楽を流す。音が少ないのを不安がるかのように。全く効果的に音楽を使用していない作品が多い。
音楽が少ない分セリフに集中することも出来た。ただ、音楽を少なくするのであれば、もっと、風や水の音、虫の声といった自然音を前に出しても良かったと思う。マーティン・スコセッシの『沈黙』のように。
セリフに注目出来たとはいっても、少し脚本に気になるところはある。説明的なセリフや、脚本的なセリフ、不自然に思える独り言などなど。わりともっと削ってもよかったと思う。
"心の声"の使用も控えて欲しかった。
設定についての説明が少なかったのは良かった。視聴者に考える余地が生まれる。
多くのアニメは第1話に説明をする。演出や音楽、脚本、ストーリーといった要素で視聴者を掴めばいいものを、"分からないだろう"、"説明が必要だろう"と、安い手法に走っている。そんな、どこにも新奇性や色がないものには惹かれない。
6話までを視聴した段階では、とても好印象だった。
演出も好みで、1日に2話のペースで順調に観れていた。それだけに、低予算なのが悔しかった。登場人物の個性が出ていたシーンもあっさり描いており、非常に勿体ないと思った。
カナが時計屋の親方に抱きつくシーンなど。ジブリのようにもっと丁寧で豊かに描いたものがみたかった。
絵コンテが良かったシーンもあった。そんなシーンがあるたびに、作画の雑さが悔しかった。
ラッカの顔もころころ変わる。ヒカリやレキに比べて、特徴がそんなない。村田雄介も言ってたけど、特徴がないと描きにくい。
制作会社の「ラディクス」を聞いたことがなかった。2006年には無くなったらしい。正確には吸収されたのかな?
あまり余裕もなく、当時の放送スケジュールはめちゃくちゃで大変だったんだと思う。低予算かつ短期間制作はいつまで続くんだろう。2019年になっても変わりやしない。
NETFLIXに期待するのみ。テレビ放送がメインの制作ではペイするのが難しすぎる。
{netabare}
クウがいなくなった後の第7話からは少し観るのがしんどくなった。1日2話ペースが落ち、1日1話になった。
急に内容が重たくなったこともあるけど、クウがいなくなった後のことに集中すればよかった。罪憑きを同時に描いたことにより、ごちゃごちゃしてしまい、ラッカがどちらについて思い悩んでいるいるのかが、分かりにくいと感じた。
罪憑きがクウに対して思い悩むことに、併用してあらわれるというのをやりたかったのは分かる。というか重要。だけれども、先までの演出やストーリーから急に展開してしまい、ついていくのがしんどくなった。
分けられなかったかなと思った。レキの話しもやりたいだろうから、話数が足りなくなるけど。
もっと言えば、廃工場の灰羽たちの話しもみてみたい。
{/netabare}
第9話の音の演出が、今までと違った。そんな音楽の使い方はしていなかったようなと。低予算で余裕がなかったのか、エンドロールを毎回ちゃんと観ていればわかるけど、絵コンテと演出が各話ごとでかなり違う。
監督のところともかずが担当したのは僅か第1話のみ。
まぁ、これは海外でも結構そうなんだけど。第1話を腕のある監督が撮り、他の演出家や監督が、その第1話によせた演出で撮っていく。製作を務めることはよくあるけど、監督をずっとはやれない。
だけど、最近これも変わりつつある。キャリー・フクナガは『トゥルー・ディテクティブ』のシーズン1を全て監督したし。デヴィッド・フィンチャーは『マインドハンター』を10話中4話も監督した。
『灰羽連盟』はいってしまえば、ところともかずが監督したのは13分の1に過ぎない。ところともかずの演出が本当に良いかはわからない。他のエピソードを演出した方のが良かったかもしれない。根拠は特にないけど、ところともかずが全話演出できていれば、もう少しこの作品を好きになれたかもしれない。
声優はキャラクターに合ってて、凄く良かったと思う。広橋涼の演技は正直、まだまだだけど。当時は広橋涼が推されていたんだなとつくづく思う。『灰羽連盟』、『カレイドスター』、『ARIA』、『宇宙のステルヴィア』、『ソニックX』など。あの声の持ち主が急に出てきたら、そら推すわなとは思うけど。
個人的にはカナ役の宮島依里が凄く良かった。純粋に上手い。子役からやってるようで経験と実績が違うんだと思う。
悠木碧も子役のころからやってるから、現在の20代声優の中じゃ群を抜いて上手い。
設定についての考察、テーマや内容、安倍吉俊の描こうとしたものなどについては文面で書くのは面倒なので、書きません。
最終評価は 6 / 10