101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
気だるげな平成の終わりに特撮チョップ♪
元ネタの特撮ヒーロー番組『電光超人グリッドマン』は未見。
当初は特撮をアニメ化することに意義を見出せず視聴に踏み込めずにいましたが、
ヒロインが可愛いらしいと言う評判に釣られてw後追いでアクセスしました♪
思えばストレスが敵視された平成は時代が下るにつれ、
様々な場面でハラスメントが指弾される一方で、
癒やしだのユルさだの鈍感力だの、
ストレス負荷を受け流す世渡り術が持てはやされていった時代でした。
クラスメイト同士の関係は勿論、親子関係、教師と生徒の関係からも、
力関係を過度に強調する言動は忌み嫌われ、
人々はフンワリした言葉遣いや微笑の裏に本音を隠蔽。
キメ過ぎるのはダサイと言う価値観は、
例えば多彩な着崩しを駆使しした制服アレンジファッション等として外部化。
こんな霧のようなフワフワした社会においても、
人間の持つ攻撃性、排他性は無くならず、
メールやSNSなどネット世界への迂回も交えて笑顔で敵を除外する、
何とも不気味な怪獣みたいなモンスター世界を作っちまった……。
本作は何も時代を総括する作品でもないのでしょうが、
気だるげな雰囲気が漂う街と、
白黒ハッキリけりを付けようとする特撮ヒーローの熱いハート。
コントラストが印象的な特撮アニメ作品でした。
この街の住人は何回「えぇ~~~~」って言うんだよw
ってくらい気だるげな方ばかりですがw
不快な印象は少なく、むしろこういう会話あるwあるw
と共感できる……もっと言えば、
ぬるま湯のように楽でフランクな人間関係に浸ることができる
心地よさが本作の会話劇にはありました。
特にヒロインの六花はダルくても憎めないアンニュイ美少女JKって感じで良かったです。
やる気のない受け答えにすら萌えられるって、可愛いは正義の濫用ですねw
私も六花に「えぇ~~~~」「意味分かんな~~い」って感じで呆れられたいですw
もう一人のヒロイン?アカネにも魅力と言うよりシンパシーを感じるアブナイ自分がいました。
{netabare}引きつった笑顔の裏で敵視した対象の抹殺衝動に駆られる。
“怪獣”と言う有効な手段がないから実行しないだけで、
現代人なら多くの人が抱いた経験がある悪感情ではないでしょうか?
ただ実際にアカネにお近づきになるのはどうでしょう。
知らぬ間にうっかり地雷踏んで抹殺されるのは流石にチョット……w
心の闇が晴れたアカネとなら怪獣トークとかしてみたいなとは思いますが……。{/netabare}
気だるげ護身術でストレスをかわして、大事なことは先送りにしていれば楽だろうけど、
人間関係でも、世界救済でも、決める時は決めねばならない。
その発破をかけるためのトリガーとして、
90年代から発掘された特撮ヒーローが上手く機能していたと思います。
戦闘シーンでは鷲巣詩郎氏の勇壮な劇伴に乗って、
大量の車がミニカー化、ビルや家屋がミニチュア化してひっくり返される描写に、
迫力と昨今の怪獣映画のトレンドを感じました。
作画面では他にも思い切った実写映像の挿入がありましたが、
その点も私は意図が明確で、好感し、加点要因となりました。
それにしても、元ネタの『グリッドマン』
90年代にこんな刺激的かつ先進的な設定の特撮番組が放送されていたとは。
私もタイムスリップして、自室のブラウン管から、
お前には、テレ朝のメタルヒーローだけでなく、他にも特撮を観る使命がある!
と過去の自分に発破をかけてやりたい気分ですw