RFC さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルに惑わされてたら思ったよりえげつない物語
まずこの作品のキャラ「レム」。
ネット上の至る所でゴリ押しと感じました。
で、露骨なメイド萌え的な身なり。
そしてタイトルは「異世界生活」。
どうせうだつの上がらない根暗野郎が異世界に行って
ご都合主義のハーレムを形成してキャッキャうふふなんでしょ?
と、敬遠してました。
ところがアニコレの評価が意外と高いうえ、
「泣ける」「感動」などのタグが付いている始末。
一応確認の意味を込めて視聴開始。
【作品概要】
主人公ナツキ・スバルは現代日本の高校生。
コンビニの帰りに突然異世界に飛びます。
突然のファンタジー世界にご都合展開を期待しましたが、
おこることは当たり前の世知辛いことばかり。
終いには死んでしまいますが、記憶を持ったまま死亡ちょっと前に
死に戻る能力を発現させていました。
さて、スバルは次々と襲い来る死の運命に
どうやって立ち向かうのでしょうか
【作品に対する感想】(2020/7以下かなり追記)
えーと、穿った妄想で敬遠してまして、すいませんでした。
レビューのタイトル通りえげつない物語でした。
設定自体はご都合なところもあると感じましたが、
キッツい物語が好きな方であれば行けると思います。
「命は一つ!死に戻りなんてあり得るか!」と感じる方は
受け入れ不可能と思います。
(むしろそれは正常な感覚と思います)
私にとって「死に戻り」は結構抵抗がある設定だったんですけど、
死ぬ恐怖、痛みが描けてたので、何とか受け入れることができました。
ご都合ハーレム臭がする主人公の周りに美少女がいっぱいという
キャラ構成も、思ったより納得できる経緯だったので、
これも受け入れられました。
普通だったら「あり得ない」と切り捨てる作品と思いますが、
ウハウハな部分と相反して醜い部分も目一杯描いている
ところが他作と差別化されているところであり、今作の魅力かなと。
1)物語
七つの大罪がモチーフになっているのであれば、
1期で描かれたのは1/7ということになります。
ということで、スバルは死にまくりながらなんとか
エンディングを迎えたもののまだまだ全体像が解らないという
スケール感だけが残った感じです。
醜いリアルを描き切っているなと思いました。
場違い、見当違い、的外れ…ありとあらゆる目を背けたくなる
不都合。そこを描き切ったのが、もはや類似品多数で飽和状態の
異世界転生ものの中で異彩を放った今作なのかなと。
2)作画
死に戻りだけに、スプラッターは遠慮なしです。
流血だけじゃなくて、四肢が潰れたり折れたり曲がったり捩じれたり
嫌悪感を抱くレベルのリアリティです。
苦手な方は要注意です。
ですが、ここまでやるかってレベルの痛みの描写は私は好きです。
だって、そういう物語なんですから。
3)声優
ペテルギウス・ロマネコンティの中の人松岡さん。
こんな演技もできるんですね。
あまりに壮絶な演技でハードル上げすぎて、後の人が大変そうでした(笑
小林裕介さん(スバル)や水瀬いのりさん(レム)の凄惨な演技が
すごかったです。
5)キャラ
➀ナツキスバル
正直好きか嫌いかと言われれば、嫌いなタイプです。
物語開始時は甘ったれの鬱陶しい子供。五月蠅いですし。
と言いつつ、彼は実際まだ子供。
子供の価値観と力量で大人の世界に首を突っ込んだ
(望んで突っ込んだわけでもないですが)代償を
死に戻りで清算している感じでした。
恐怖と苦痛を対価に何度も死にながら足搔く姿は
醜いものなんですけど、ある種リアルな姿かなと思いました。
誰だってあの環境に突如放り込まれたらそうなるよねって。
前半は環境的に狭い範囲の問題だったので、力量不足を
死に戻りで清算できていました。
しかし後半はそれだけでは全く不足して{netabare}
彼の精神はむしばまれ、やってはいけないことをやり続け
孤立してしまいました。
自分の手が届かないところで空中戦されると、
焦ってしまうのは分かるんですけどね。
普通なら心も折れ、死んでしまうところかもしれませんが、
死に戻りの力が死ぬことすら許してくれません。
とてもついていけるはずのない環境に、苦痛覚悟で
成長しながらくらいついていく姿は、
安易に切り捨てるべきではないかなと思いました。
遠回りしながら、少しずつ考え方を変え成長はしていますしね。
あのタイプの人間が突然交渉のまねごとを始めて
1回で上手くいっているのはご都合主義と思いましたが、
そこまでリアリティを求めてはこの物語が終わるまでに
50年くらいかかってしまいそうですから、
そこはまあいいかなと思いました。
ゆえに後半の交渉材料集めてくるところとか好きでした。
あと子供に好かれるっていうのは、無条件でポイント高いです。
{/netabaere}
➁エミリア
愁いを含んだ微笑みがポイント高いです。
こういう真面目で微天然なヒロイン好きですよぉ!
守りたいその笑顔!
{netabare}
彼女もそもそも人との関わり合いは苦手なんでしょうけど
まずかったのは子供(スバル)にちゃんと首輪を
つけられなかったことでしょう。
首輪というのは物理的な拘束という意味ではなく、
「当初のスバルを力量不足の子供と認識しているなら、
子供のスバルでもちゃんと自重できる言い方」
をすべきだったかなと思います。
この辺が人間関係が希薄だった頃の負の遺産でしたね。
{/netabare}
➂パック
ケモノで飄々としたこのこ、作品の20%くらいの魅力を占めてます。
むしろこのこの出番増やしてください。
敵もその弱点を知ってるのか、9時5時を外して
攻めて来てるような気がしてます。
➃レム
ネット上でごり押し感が強かったせいで、マイナスイメージから
スタートした娘です。が、信頼した相手にはとことん尽くす
タイプで、ここまでされたらイメージ変わらずにはいられなかったです。
本当の意味で自己犠牲をやってのけてる娘ですね。
はっきり言ってスバルにはもったいない位と思いました(笑
➄ペテルギウス・ロマネコンティ
出鱈目な名前に噴きました。
もう徹底的に気持ち悪くて、逆に素晴らしかったです。
➅クルシュとアナスタシア
優先順位がそれぞれ異なる王様候補。
少なくともこの二人は優しさを感じます。
⑦ヴィルヘルム
このおっさん…というかジジイ、めちゃくちゃ好きです。
歳を重ねるなら、こういうジジイになりたいです。
分別を弁えたうえで、子供の願望も同居する。
まあ、そのためにはそれ相応の実力も必要ですけどね。
6)印象深いシーン
{netabare}
➀クルシュ、アナスタシア スバルを教育する
彼女らの振る舞いは冷酷なのか?
私の感覚だとかなりお優しいのかなと思います。
と言いますのが、彼女らの立場や感覚からすると
何でそこにいるのかわからないレベルのスバルに
教育してるんですよね。
エミリアと何かしらの契約しているクルシュはともかくとして
アナスタシアは何の関係もないのに、反感買うのを分かった上で
ネタばらししてますよね。
彼女ならスバルが「利用された」と理解させることもなく
情報だけ抜き取って、一方的に恩を売ったことにしかねない
タイプだと思うんですよね。
彼女らがスバルに何を感じてそこまで時間を割いてあげたのかは、
この1期を視聴する限りはまだ分かりません。
今後そのあたりを深堀してくれると、説得力が増すと思います。
➁ヴィルヘルム無双
白鯨戦あたりから突然人間を超越した動きを見せ始めます。
初見唖然としましたが、鬱屈した物語が続いていた後だけに
あのくらい無茶苦茶しないと視聴者も発散できないかなと。
{/netabare}