「雲のむこう、約束の場所(アニメ映画)」

総合得点
72.0
感想・評価
852
棚に入れた
4708
ランキング
1228
★★★★☆ 3.7 (852)
物語
3.6
作画
4.1
声優
3.4
音楽
3.7
キャラ
3.5

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

前作を踏襲しつつ、クオリティは向上

 新海 誠監督の劇場公開2作目。
 作画の雰囲気やキャラクターデザインなどは前作「ほしのこえ」に似たものがあるが、より
クオリティが上がった感じ。
 「ほしのこえ」同様にSF要素が強い作品であるが、「ほしのこえ」のそれが主役の男女の環境を
作るための最低限の舞台装置といった感じだったのに対して、本作におけるそれは上映時間の関係も
あるのか、もっと凝ったものになっており、SF要素それ自体が見応えの一つになっている感じ。
 SFだけでなく、日本が南北に分断されているPF要素も加味されているが、同じ民族が分断
されている悲劇を殊更描くのではなく、距離的に近いがおいそれと訪れることはできない「近くて
遠い場所」という位置付けが強そう。
 それゆえにそこにある塔が藤沢 浩紀と白川 拓也という二人の少年の冒険心を駆り立てるもので
あり、更に途中から加わった沢渡 佐由理との約束の場所となりえたのかなという感じ。

 設定や世界観を取っ払ったところでは、「ほしのこえ」から現時点での最新作である
「君の名は。」までに続く、「離れてしまった男女とそれでも届けたい思い」といったテーマ性を
同じくするもの。
 前半において3人の少年少女の日常が本当に幸せそうで、更に背景などが日本人の普遍的な
ノスタルジーを感じさせるようなもの。こういった日々がていねいに描かれたことで、後半の別離の
悲しさと再会を求める気持ちがより説得力あるものの感じられる。
 新海作品の場合、テーマ性に似たようなものがあっても、作品によって結果は多々といった感が
あるが、本作に関しては佐由理は目覚めるも記憶を無くしており、更に約束の地は崩壊、冒頭の
大人になった浩紀が一人であることを考えるとハッピーエンドとは言い切れない感じ。

 「ほしのこえ」でも感じられたが、青森や東京の背景作画は現実にある情景をそのまま描いた
ようなもので、特に青森はすぐ近くに敵対国があるとは思えないような感じ。
 SFやファンタジーなどの非現実的要素のある作品においてリアリティを考慮する場合、設定や
世界観などから社会状況、環境、風俗などを想像して描くのが一般的だと思うんだけど、そういった
ことより視聴者に身近な情景などを重視して、そういったものを取り込むことでリアリティを
感じさせるやり方もあるみたい。最近だと「BEATLESS」などは22世紀の話なのに情景は平成の
それをそのまま描いていたが、本作や「ほしのこえ」もそういったことをやっていたのかなと。

2019/01/24
2019/01/26 誤字修正

投稿 : 2019/01/26
閲覧 : 451
サンキュー:

5

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