猿の尻尾 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
あぁ、絶望が破裂する
花は、お日様に触れられない。
だって穢れきった自分では、お日様を汚してしまうから。
それに、穢れている自分なんてお日様は照らし続けはしないだろう。花はただ今の時間が続けばいいと願った。それだけで幸せなのだと嘯いた。
やがて花は熟れ堕ちる。私にだけ残酷な世界なんて、大嫌いだと。
正直前章があまりにも完璧だったものだから意識してハードルを下げていました。
後ろ向き系ポジティブな私はあらかじめ物事を悪いほうに考えておくことが多いのですが、結局それで良かったと思うことのほうが多い気がします。
しかしこの映画に関しては杞憂でした。いやむしろ馬鹿げていました。
映像美も、作画も、演出も、愛も熱量も何もかも、比べ物にならないほど前章を飛び越えていきました。
あんなに力の入った1章でさえ、この2章の前では霞んでしまう程の衝撃です。
ufotableの底力はもうあれだ、何ていうかこう、とんでもねーな(語彙力
第2章の本作は決断と決意のお話です。
そして真なる崩壊のお話。
聖杯戦争はいよいよ、堕ちていくのであります。
絶望と孤独に塗れた暗い狂気の底へと。
士郎のとある決断のシーン。あるいは決断の意味を思い知るシーン。
原作者から人間のふりをしているロボットなんて言われたこともある彼が、その体を不自然に震わせ軋みをあげながらも、血の通った人間になったように私には見えました。
例え呪いと言われようと、衛宮士郎を形作っていたモノ。衛宮士郎が歩くには絶対に必要だったモノ。
それを捨ててでも、桜を守ると誓った士郎に涙を流さずにはいられませんでした。
信じられない、男の子に、泣かされた(ルート違い
原作で1番好きなルートが、この「Heaven’s Feel」桜ルートでした。
奈須きのこの書く陰鬱な雰囲気とドロっとした人間ドラマが好きなのです。
今になって、こんなHFが観れるなんて誰が思おう。
こんな桜が観れるなんて誰が思おう。
この日の為にFateを好きになったんじゃないかと思ってしまうほど幸せでした。
制作関係者各位と、須藤友徳様。本当にありがとうございます。
興味のある方は是非ともご視聴を。
もうどんな入り方でもいいから、とにかくこの極上のフィルムを観て欲しい。
あぁでもその、PG12なのでその、よろしくね。