ぺー さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
山田尚子監督の系譜を辿る旅
というわけで山田尚子監督のオリジナルアニメ
『聾の形』『リズと青い鳥』と刺さるものがあって、氏の作品目当てで『たまこラブストーリー』を先に鑑賞。しばらく経ってから大元のこちら『たまこまーけっと』を観ました。
1.山田尚子監督(と吉田玲子さん)
2.京都アニメーション
遡って過去作を漁り本作に辿りつく場合には上記理由が視聴動機の大半でしょう。そして、
3.日常系でなんかいいものないかな?
私の得意分野ではありませんが、ニーズは確実にある領域です。
うさぎ山商店街を舞台に餅屋の娘、北白川たまこ(CV洲崎綾)の日常を描いてます。舞台はほぼ商店街と学校の中で完結するほのぼの・・・うーんコメディなのかな!?全12話。
たまこは家業が大好き。常にお餅のことを考えているリアルでいたら相当イタイ子なんですがアニメだと普通というより魅力になるから不思議です。
出てくる人たちみんないい人でほっこりできる佳作でした。
2013年冬クールの作品で、スマホが浸透しきってなかったのか、ガラケーメールでのやりとりが軽い郷愁を誘います。
1話完結型でだいたい次の回で1ヶ月くらい進みます。四季を辿る構成で飽きさせない工夫がありました。こんな時、新学期は桜を舞わせてという場面を作るお約束描写など、本作でもそういったところは踏襲はされてますが、このへんは京アニさんの地力なんでしょうね。作画崩れは起きてません。
さらにただのゆるふわにならないような仕掛けがあったことも私にとっては好感です。
仕掛けの一つ。日常に起伏をつけるのに、喋る鳥が登場してました。ファンタジー要素になりますが、非日常を受け止められるたまこのほわほわ感を強調させる効果があったと思います。
正直なところデラ・モチマッヅイ(鳥)はほのぼの世界観の中で不協和音を奏でるキャラクターという位置づけです。が、それは比較的抑制されていてむしろ適度なスパイスのような存在。徹頭徹尾ほのぼのが好きな方もいるとは思いますので、デラ(鳥)の評価は別れるでしょう。
そしてもう一人の不協和音はチョイ・モチマッヅイ(♀)になるかと思うのですが、その名の通りデラより抑えめで気になりません。{netabare}むしろメチャ・モチマッヅイ(♂)の唐突感のほうが気になるかもしれません。不協和音(良い意味で)は名前に比例します。{/netabare}
{netabare}喋る鳥。その姿かたちから見て『Gu-Guガンモ』まんまでしたね。ガンモは全く内容は覚えてませんが、主題歌のサビだけ覚えてる超古典です。{/netabare}
仕掛けのもう一つは、盛り上がる回を用意したこと。
{netabare}「ここの豆大(福)が好き」アバンで母を初登場させ、「豆大福の中にはあんこが・・・」妹の淡い恋話を経て、父と母の恋話で締める流れの第9話は秀逸でした。{/netabare}
{netabare}また、別の回でもち蔵がたまこに第1話で言えなかった「誕生日おめでとう」をきちんと回収できたのも良かったです。{/netabare}
ゆったりと日常を見せながら、モチマッヅイ家?の投入でスパイスを利かせ、物語の起伏となる良回を挟むなど工夫が凝らされた良い12話だったと思います。
お隣同士幼馴染みの恋の行方は劇場版で!ということなんでしょうね。『たまこラブストーリー』はきちんとこの世界観を保ったままの、タイトルの名に恥じないラブストーリーです。
■余談
第9話は本作の中でも良回。10月10日に繰り広げられた一連の顛末がAパートBパート両方とも素敵でしたが、それには一切触れずに記念日について。
10月10日は“おもちの日”らしいのですが、この日ってけっこういろいろありませんでしたっけ?
なぜおもちかは、この日が「体育の日」であり、餅が特にスポーツ時のエネルギー源・栄養補給源として適していることから。
{netabare}慣れ親しんでるのは「目の愛護デー」。10を横にしたら眉毛と目玉だよね・・・ってだいたい記念日なんてそんなノリです。制定が昭和6年と昔から日本人のノリは変わらんらしいです。
他にも、「釣りの日」「銭湯の日」「お好み焼きの日」も似たような経緯で制定されてたり。「totoの日」まんまじゃん!「トートバックの日」もうなんでもいいんだなこいつらwwみたいなのも。
そしてご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、、、
{netabare}「萌えの日」でもあるみたいです。“十月十日”を組み合わせると“萌”になるらしく。{/netabare}{/netabare}
{netabare}本作でどこに萌えるか?
少なくとも毎度EDでのたまこは可愛かったですね。おさげを下ろすとこんな感じかぁ。。。逸材じゃないですか!と。{/netabare}