Dr.k(甘味亭) さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
作風の変化。動物の現状と人との関係性を問う。
当面、総括として要旨と、12話部分を投稿していますが、適宜加筆予定です。
→4/7 加筆済み。必要を感じれば都度、加筆・修正予定です。
(総括)
まずは、ネット上でのこの作品を取り巻く環境下にも関わらず、作品を世に出してくださった方、そこに関わった全ての関係者の方に敬意を表したいと思います。賛否ある評価となっていますが、私は3ヶ月間大いに楽しませて頂きました。
内容はというと、前作とは大きくコンセプトが違う作品だったように思います。
前作の主人公「かばんちゃん」は言わばヒトの善性を詰め込んだ存在でした。そのかばんちゃんが「創造」を駆使して問題を解決し、その上で自らも成長(進歩)していく。
一連の旅は、賛美を伴った有史以前の人類の歩みを表現したもののように私は捉えました(ヒトの「グレートジャー二ー」)
私は、この前作を非常に楽しんで見ましたし、私のけもフレはここからでした。
一方で、私は擬人化ものを見る時、そのキャラクターだけをみて「かわいいかわいい」と言っているだけで本当に良いのだろうか、心のどこかで引っかかる癖もありまして。
けもフレに関しては、前作の「優しい世界」の虜となるうちに、その視点を忘れつつありましたが……。
今作、「2」ではそこを大きく掘り返してくる作品だったと思います。
人類は、グレートジャーニーの果てに世界を席巻し文明を築き、今日まで発展させてきた。今作の主人公は、そんな文明の上に生まれた子どもです。そこには、人の業も当然ついてまわるでしょう……。
(フレンズではない)現実の動物でも、昨今は「かわいい」とブームが起きます。
確かに、かわいい動物、沢山います。でも本当に、その動物が置かれている状況からは目を背けて、ただ「かわいいかわいい」としている態度でいいのか?
そのような所をこの作品で厳しく釘を刺されたように思いました。
さて。固い話はこの位にして、1人くらいはひたすら「ここすき」をひたすら繰り広げる者がいてもいいだろうとの私の勝手な思いから、以下の各話部分は「ファン目線から」各話を振り返っていきたいと思います。興味のある方はお開き下さい。
(所謂、レビューにはなっていない駄文ですのでスルーを基本的に推奨します。)
☆1話{netabare}
カルガモさん。
「溝」にまつわる、リアル動物に基づいたエピソード。「とある技」を見せる時の(ドヤァな表情。かわいい。感激でずぅ~!
「パンのロバや」でフレンズに食べ物を分けるロバさん。もしかして文字が少し分かる?もしくはパーク開園時からの役割?
{/netabare}
☆2話{netabare}レッサーパンダさん。あの性格の大元は……?(lesserを辞書で引くと……?これってヒトの影響……?)
パンダさんのゆる~とした動き。かわいい。
きっとこのゆるさが恋しくなる時がくる、そう感じる2話でした。
{/netabare}
☆3話。{netabare}「海のご機嫌」とは?
ダブルスフィアの「依頼主」とは?
何だろ~?
某番組コラボのサプライズも!
イルカ&アシカコンビを通じて、今作のテーマが明示された、そんな3話でした。
{/netabare}
☆4話。{netabare}アードウルフさん、念願の登場!
(1期ではかばんちゃんと運命の明暗が分かれたフレンズさんでした……。)
アリツさん、かなりのはっちゃけっぷり!
ナミちーさん、あの笑顔の可愛らしいこと……。キャストもまさかのあの方!
ラッキーさんの話し方もまたかわいいんダーヨ。……あでぃおーす!
{/netabare}
☆5話。{netabare}
ヒョウ姉妹のネイティブな関西ことば。
ドスの効いた「やるか~?」は怖いですお姉さん…こ、こ、こわーい!ブルブルブルブル♪
キュルルちゃんの「がおー!」もかわいい……(その視聴者の声を代弁するカラカル……ナイスプレー!)
何だかんだで仲良く遊ぶ両陣営。
ゴリラさんについては私からはとても語れません。某ゴリラマニアの方におまかせします(Twitterにいらっしゃいます)
ラストのサーバルちゃんのシーンの美しさ。非常に印象的な画面でした。
(私としては、最終話まで見終わっての個人的ベスト回はこの5話です!)
{/netabare}
☆6話。{netabare}全てを悟ったかばん"さん"。ここは触れ始めるとキリが無くなるので……
私からは一つ、6話ラストシーンについてだけ。
ラストシーンのカラカルさんのファインプレー。それに応えるかばんさん。
サーバルが少なくとも、「あの時のまま」の「サーバルちゃん」ではないことを悟ったかばんさん。
あの時、「かばんちゃん」としてサーバルちゃんと旅した時の様に、
旅をする「キュルルちゃん」と「サーバルちゃん」に「カラカルさん」。
キュルルちゃん一行に新たな荷を背負わせる事はしまいと振る舞い、最後まで「大人」として堪える姿……。
内心は溢れんばかりの想いを、カラカルさんへのたった一言に託します。
(かばん)「……あの子を…よろしくね」
あの涙声はズルいですよ…内田さん魂の演技でした……!
{/netabare}
☆7話。{netabare}
ロードランナーさんの「クソガキ」感。でも何か憎めない…かわいい……。
(Gロードランナー)
「おいどーした?ビビってんのか~?
やめるなら今のうちだぜぇ?」
は恐らく、見た方の印象に強く残ったことでしょう。
チーターさんもまたいいキャラでした!
ブロングホーンという動物はこの回のお陰で知りました。「好奇心」にも触れられていて細かいなと思うところです。
{/netabare}
☆8話。{netabare}モーショントレースを使ったPPP回。
チョイ役ですがパフィンちゃんにタヌキさん、トキさんの登場とファンには堪らない回でした。
ラスト、ついにキュルルちゃんが拉致!
♪犯人はアイドルペッパプ~……ではなく、ダブルスフィア!
「ヒトの檻」…これは痛烈な皮肉ですね。
(現実ではヒトがセンザンコウを檻に入れて…センザンコウの密輸のニュースは注意して見ているとよく出てくるものです。)
{/netabare}
☆9話。{netabare}「来たくて来たんじゃない」という拉致られたキュルルちゃんのセリフ。これまた皮肉……!
物議を醸したイエイヌさん。
結末は正解のない問題です。
ビーストとの出来事を巡ってイエイヌさんは、キュルルちゃんとのおうちが「妥協」であることに気づきます。
そんなイエイヌさんとの結末……
1つの回答としては、イエイヌさんが「種の誇り」と考えるようになった「本当のおうちで本当の主人を待つこと」貫かせてあげること。……でも、このパークの現状では主人がいつ帰って来るのか……そもそも帰って来るのか?それも分からない。ある種、とても残酷です。
もう1つの回答として、一緒に旅に出ること、即ち「新しいおうち」を作ってあげること。
……しかし、イエイヌが「信念」とすることをねじ曲げる事を強いるのが「優しさ」なのか?
……この問題は、この作品のこのエピソードに留まらず、「人間と動物の関わり方」にまつわる問題ともいえます。
(ここで、冒頭のキュルルちゃんのセリフ「来たくて来たんじゃない」が利いてきます)
果たして、人間は動物の生き方にどこまで介入するべきなのか?
介入することが本当に動物の生き方を幸せにしているのか?
私も、動物を飼っている(イヌではなくネコですが)ので、すごく考えさせられました。
(元々、危険な場所に迷い込んだネコを「保護」した"保護ネコ"とはいえ)「私に飼われるネコ」としての現状が、本当にネコにとって幸せなのか。
……これは究極的に分かることは無いのでしょう。ですが、ネコが少しでも穏やかに幸せに生きていけるように大切に接してあげよう、そう思わされた話でした。
{/netabare}
☆10話。{netabare}遂にフウチョウコンビが(キュルルちゃんの前に)登場。(※登場自体は5話。一瞬の映り込みと、フウチョウコンビからの視点であろう見下ろし視点カットがあります)
前話ラストで無くしたスケッチブックを渡す代わりに、重い事実をキュルルちゃんに告げては去っていきました……。
一行はリョコウバトさんと共に「ジャパリホテル」へ。(キュルルちゃんが抱えられて行くこのシーン、前作の3話を思い出して懐かしくなりました……トキとリョコウバト、悲しい共通点ある2人。)
土産物コーナーに残るぬいぐるみ、かわいい……!!欲しい(けどこれまた皮肉……)
遂に、アラフェネ登場!(ダブルスフィアとの対面、「2人4役」楽しいシーンでした)
最後はダブルに「うわぁぁぁ!!」(キュルルのフレンズ集合絵、キュルルちゃん自我に悩むうちに海へ転落……!)な10話でした。
{/netabare}
☆11話。{netabare}
フレンズ大集合!
……状況が状況なのにこの気楽さは……!
けものですもの。
「ヒョウワニコンビ」の共闘&ハイタッチ、
「センちゃんビリヤード」など状況の割に重くなり過ぎず楽しいシーンが沢山でした。
(10話視聴後にはどうなる事かと……)
……一見、祝勝ムードになっていますが何も好転していません……。
(フレンズ達も最後にようやく気づきました……。最終話どうなるというところ。)
纏めると、ファンサービス的な11話でした。
{/netabare}
○12話を終えて……
{netabare}
いよいよ最終話……。
なんだかんだと、(物理的な)「おうち」探しとしては一段落しましたね。
「みんなの役に立つため」に冒険する……
かばんちゃんより更に「何者でもないヒトとして」ひとつの、「キュルルちゃんとしてのあり方」(アイデンティティ)が確立したと言う所でしょう。
また、印象的だったのはかばんさんのシーンでした。
6話ではサーバルちゃんの前では堪えていたその感情が、遂に溢れたようです……。
キュルルちゃん一行のコンビは「いいチームだと思う。」との発言。
やはり、かばんさんはこの3人が「新たに紡ぐ記憶」を邪魔してはいけないと思って堪えていたのでしょう。
かばんさん…遂に……我慢出来ませんでした。
(かばん)
「ねぇわたし達も…そうだったかな?」
「……ねぇ゛…!…また会おうね」
(サーバル)
「うん、約束だよ、"かばんちゃん"!!」
……?!「かばん"ちゃん"」!?
やはり…どこかに「かばんちゃん」との思い出が…
同一個体である線は限りなく薄そうですし、
同一フレンズには一定の記憶が引き継がれるものがあるのでしょうか……。("星の記憶"?)
ここは後々のシリーズ展開に期待でしょう。
結局、キュルルちゃんの出自については分からずじまいになってしまいました。
瞳孔の色が左右で違うのもやはり不自然、
最後の最後でお腹がなるシーン、
やはり機械音……(直後でサーバルちゃんのお腹のなる音もあり、やはり意図して音を区別しているように聴こえました)
言動は紛れもなく純粋な、等身大なヒトの子どもですが、どうもただの人とはやはり思えません……。
また、
冒頭のキュルルちゃんがいた施設、キュルルちゃんが眠っていたものの正体は……?
カラカルさんとの友情もラストは描ききらなかったように見えました(まだまだ先がある)。
また、アムールトラのビーストは結局、どうなるのか……安否もそうですが、ビーストは結局相容れる存在なのか、そうでないのか……(干渉すべき存在なのか……?)
キュルルちゃんの落とした帽子は、回収しなかったとしたら今後「キュルルちゃんのフレンズ」が生まれる可能性があるのか……?
また、クリスマスの動画等に存在が示唆されていた「都市」も結局足を踏み入れることはありませんでした。
3人が橋の上から都市を眺めるイラストが印象的で、そのうち登場するのかと思っていたのですが……これは後日談となるのか…?
……と、思いつくだけ列挙してみましたが、まだまだ作品内で描かれていない部分もあるようです。
正直に言うと、不完全燃焼の感が視聴者の立場としては否めないのは事実です。こればかりは……。
ですが、今後も続々と多くの媒体で展開を続けていく上では、この「物理的なおうち探しの終了」というものは、一つの区切りではあったと解釈する他ありません。
{/netabare}
(視聴を終えて)
何だかんだと、3ヶ月間非常に楽しませて頂きました。
「アニメ前作の」けもフレにこだわって同じ形のものを求める人には、なかなか馴染むのは難しい面があったかと思います。
一方、アニメ前作終了後も、公式アンソロやアプリ・音楽等を通じて「けもフレ」の世界を楽しんでおり、
また動物を取り巻く問題に関心を持っていた私としては、今作は大きな違和感なくすんなりと楽しめる作品でした。
(考える機会を与えて頂いた作品でした。)
中々、万人受けとはいかなかったようでそこはやや残念でもありますが、
作風とテーマが合う人にとっては良作足り得る作品です。
興味を持たれましたら、一度鑑賞する価値は十二分にある事でしょう。