snow さんの感想・評価

3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態：観終わった

クリエイターの勝利<66>

作成に大人数が必要で資本側の理屈がまかり通るアニメで、個人の才能を全面に出した作品が資本の論理の某作に評判・売上ともに圧勝したのは喜びたい。
3DCGに期待してるのは表現力より省力化によってクリエイター個人の作りたいものが出せることなんだけど、まだまだうまく行ってない現状。
アニメ作家という個人が出てくる起爆剤になるといいですね。

けもフレとの類似から、ヒットする構成要素を自在に抽出して作品として再構成した手腕が・・・と思ったが、自主制作版の時点でかなり実装されてたことを鑑みれば、けもフレの中身を作ったやり方そのまんまを発揮したということになるのだろうか。
要素でいうとこういうの
・ポストアポカリプス的廃墟な世界観
・ロードムービー
・人外と人間。最初は人間には大した能力がない扱いだが、その知恵で人外を助ける立場になる
・人間がいったん犠牲となり人外が取り戻そうとする
・山場(ピンチ)に過去キャラ集合
同じようなものしか作れないんじゃ？的な疑念も湧くけど、それは腰を据えて環境を整えて作れるであろう次回作で覆してほしいもんですな。

全話分のビデオコンテを作ってから調整していく作り方のせいか、伏線や展開のつながり等のまとまりはあるけど、各話のつかみが弱め。
本作だと、全体の山場の11話はしびれるものがあったけど、他に個別で超面白かった回というのも特に無く、1本の映画を区切って見せていたような印象。
ただ全体を見渡した統一感ってのが、おねーちゃんが感動話してりゃいい昨今のアニメでよく足りなくなってるとこなんで、そりゃ評価されますわな。
導入の弱さもネームバリューで保管されて弱点にはならないでしょう。

ただ、けもフレは客寄せ美少女動物園としての大枠しかなかったから、たつきのやりたいこととうまく噛み合ってキャッチーさを補完してた面はありましょう。尾崎由香サーバルというキルミー赤﨑並のドハマリ役があったのも大きかったか。
原作をつけてみるといいのかもにゃー、古典をたつきの味でみたいなの。

りなの量産っぷりに、てさぐれのモブ子の類似を見出したいところだが自主制作版が2010年～ってことで、逆にモブ子がたつき発だったのかな。

けもリクサ<58>
1話視聴。
たつき監督のオリジナル。WEBで発表してた短編みたいのだとちょっとキツイかなと思ってたら、一挙一動から世界観を探らせるハイコンテクストな導入。
WEB短編よりはヒントは多めだけどTVでもやっちゃうのかー固定ファン掴んだからネットで補完してついてくる計算か・・・とか思ってたら何も知らない視聴者目線キャラが投入されて、そらそうよね的な安心感。

絵的にはあんま進化してないっていうか、ちょっと破綻してるところもあったり。
3DCG由来の作画って実際のデキより受け入れさせるかどうかって部分があるから、たつき監督ならマイナス要素にはならんのだろうけど。

練られた世界観であろう雰囲気は感じるし、クリエイターの勝負駆け作品としても期待値は高い。今のところ制約を脱ぎ捨ててグレードアップしたけもフレという感触。