ゲリオ さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
全方位最強アニメ
文句なしの大ヒットオリジナルアニメ爆誕!
個人的には初回から推していた作品だが、回を増すごとにファンを増やし、クール半ばになるとアニメ業界全体に大きな盛り上がりをもたらす名作となった。
「ゾンビがアイドルになって佐賀を盛り上げる」
突っ込みどころ満載の設定が実に功を奏し、次々と繰り広げられる驚きの展開が視聴者に大きな感銘を与えた。
まず、アイドルアニメについて現状、男性向け作品で最も商業的に成功しやすいコンテンツではあるものの、アイドル物というだけで視聴する前から敬遠してしまうアニメファンも少なからずいるのが事実。
本作はメインキャラがゾンビであるという突飛な設定を組み込むことで、そういった普段アイドルアニメを見ない層も取り込むことに成功できたのは大きかったと思う。
実際、作品冒頭はアイドル要素は隠されており、むしろカオスなギャグ描写を連発する異常さが売りのハチャメチャ作品だった。そこから3話あたりでアイドル路線に踏み入れ、ところが4話で再びギャグに戻り、5話ではもう一つの題材である"佐賀アニメ要素"をトピックする慌ただしさ。そしてその全てが面白い!
既に第5話までで圧倒的面白さのゾンサガだが、6~7話でシリアス要素も詰め込む展開を見せる。
自らのが生きた時代と現代社会における常識の乖離に苦悩するキャラ、死の原因であるトラウマ悩むキャラ…
よく「誰得シリアス」などと揶揄されるけど本作には全く心配ご無用。というかシリアスを入れたこの回で人気が爆発したのは間違いなく、第7話は本年度のアニメで個人的最優秀回だったと思う。
ギャグとシリアスを並行して絶妙なバランスを維持する脚本があまりに完璧すぎた。
また、ゾンビ設定の利点を活かす工夫や演出が随所で見受けられ、単なる思い付きの作品ではなく綿密に計算されたプロットがうかがえる。
まさに全方位最強アニメと言って過言ではなくなってきた。
さらに8話で感動系のお話を持ってきて、あるキャラに関するしかも衝撃の事実が判明して…とまぁ、ここまで今期覇権どころか平成覇権アニメになる可能性も現実味を帯びてきた。
ところが盤石な人気を誇った本作も若干ここで失速。
12話の最終話こそ最後を締めくくるに相応しい内容だったが、どうしても10話の内容が贔屓目に見ても不要な回に感じて勿体ないと思った。(11話はタメ回として問題ないにしても)
未回収の伏線やフラグを残しつつの最終話だったので間違いなく2期はあるだろう。
ヒットするか分からないオリジナル作ということもあり、最初から続編を見越したシナリオだった可能性は低く、おそらくは途中で脚本を変更したのではないかと勝手に予想する。
そう考えれば違和感のあった10話の説明も付くのではないか。
そろそろ総括するが評価としては、とにかく久々に大当たりなオリジナルアニメということで神アニメ判定で間違いないと思われる。
終盤で少しだけ盛り下がってしまったものの、それでも全体的には作画含め非常に出来が良かったし、ギャグとシリアスを並行してやれる作品なんて滅多に見られないだろう。
燃(萌)えて笑えて泣けるアニメなんて他にありますかって。
キャラに関しても、7人というアイドルメンバーが少数精鋭で素晴らしかった。
演じる声優さんについてだが、ヒット作に恵まれない方や病気で休養してた方など、ゾンビとして人生をやり直すキャラクターとなんとなく境遇が重なる人ばかりで、偶然かもしれないけど凄いキャスティングだなと感じてしまった。
あと、最後まで人としての意識を取り戻せなかった山田たえちゃんがまた良い味出してるキャラで、彼女の過去なども2期で語られると思うのが楽しみでならない。
平成の終わりにこのような作品に出合えて幸せである。続編も期待大。