タケ坊 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
概ね期待を裏切らない出来には満足
☆物語&感想☆
P.A.WORKSが「凪明日」の監督と再びタッグを組んでオリジナル作品を作る...
これだけで多くのファンの心を躍らせたことでしょうし、
自分も1話観てこれは間違いない作品になるだろうとは予感したものの、
結果的に見事に期待に応えてくれる素晴らしい作品を作ってくれたなと思います。
アニメを日々観ていて期待とは裏腹にイマイチだったり期待外れだった、
と感じる事が多いのが、いわゆる1クールオリジナルというカテゴリー。
観た人がどう感じるか、売れている原作がないので反応が読めないという難しさ、
制作会社がやりたいことと観る側が期待するものとのギャップ、
1クールという尺の短さなど、力のある制作会社でも越えなければならないハードルは多いなか、
今回のP.A.WORKSはこれまで培ってきたものを糧に、
自分たちが一番得意とする方向性で、ファンが持っている良いイメージと相反することのない、
言わば鉄板ネタで勝負してきたのは素直に喜ばしいですね。
物語に関しては、SF、学園、青春、ラブ・ロマンス、魔法ファンタジーなど、
これらの要素を本当にバランスよく取り入れ、綺麗にまとめあげたなと思います。
2クールあれば、どの要素ももっと深く突っ込んで描けたかも知れませんが、
1クールということを考えると、自分は概ね満足ですし、
+0,5点付けさせてもらいました。
また、ファンタジーな世界観や雰囲気、演出面の出来なども「凪明日」を想起させ、
長崎の舞台設定も秀逸で、多くのファンが聖地巡礼に訪れることでしょう。
私事ですが、十数年前に稲佐山で見た夜景は今でも忘れられず目に焼き付いています。
内容に関して普段はあまりネタバレ含めた感想を書くことは少ないですが、
今回はちょっとだけ。{netabare}~
些細なことでは有りますが、
唯翔以外の部員が物語の核心部分である、
何故瞳美が色が見えないのか?という点に関して、
最後まで窺い知ることがなかったというところ、
(琥珀は瞳が無意識に魔法をかけているとは推察していましたが)
瞳美は何故未来から来たのか?という点に関しても、
そこに誰も気を留めなかったところが、ちょっとだけ気にはなりました。
まぁ琥珀が全て理解していたら、未来で瞳を過去に送るような事態にもならないので、
話自体が成立しなくなってしまうのは充分解ってるんですけどね。。
それと、美しい物語では有りましたが、唯翔の今後を考えると気の毒やなぁと。
運命的な出会い、自分の人生をも変えるきっかけにもなった相手が、
あんな形で居なくなってしまったら...
「秒速5センチメートル」の主人公みたいに引き摺ってしまうんじゃないかとか、
要らぬ心配をしてしまいます笑
途中でいつか居なくなる、という事は理解していたので腹はくくってたとは思いますが。。
瞳美の同級生の女の子2人は部員たちの孫であることを匂わせているのは明らかだったのに、
唯翔に関してはそのような描写はなかったので、幸せになってると良いんですけどね。
というのも、瞳美の墓参りのシーンは普通に解釈すれば、
お世話になった月白家の方たちの墓だとは思いますが、
考えようによっては唯翔の墓とも受け取れてしまうんですよね。。
まぁ想像できる余地を残す終わり方は嫌いじゃないんですけどね。{/netabare}
☆声優☆
ひっこみがち、内向的タイプの瞳美、あさぎと
明るくハッキリモノ言うタイプの琥珀、胡桃、
このキャラの対比に上手く声質を合わせたキャスティングがされていたと実感する一方で、
意外性&若手の積極起用には目を見張るところでした。
近年あまり目立った活躍がなかった、と言ったら失礼かもしれないけど、
石原夏織さんを主役に持ってくるあたり、
「凪明日」で起用した繋がりもあったとはいえ、これには少し驚きました。
実際のところ自分が観てきた作品には殆ど出てなかったのもありますが..
琥珀演じる本渡楓さんは「ゾンビランドサガ」、
「RerideD」と今期他2作品で観させてもらいましたが、
どれもキャラに合わせて声の出し方、
演じ分けが若手なのにしっかりできていて、こりゃ売れるのも納得。
結構そこそこやってる人でも、あの役とまんま一緒やん、っていう人居るのに..
これからが本当に楽しみな人ですね。
またあさぎ役の市ノ瀬加那さんは「ダリフラ」での抜擢から、
今回の役ではより声質的に合っていて、演技力も増しているなと実感しました。
その他ベテラン陣に大原さやかさん、
島本須美さんなどを起用して上手くバランスを取っていて抜かりなかったですね。
☆キャラ☆
瞳美を中心にしつつも
それぞれのキャラに思春期の悩みや恋愛がうまくリンクさせて描かれており、
この辺りはP.A.WORKSにはお手のものといったところでしょうか。
ただ、欲を言えば唯翔以外のキャラと瞳との関わりが、
単なる部員、友達、恋愛対象というだけじゃなく、
もっと心の奥底で結びつくような描かれ方がされてれば、より感動的だったかもしれないな、
と思いましたが...やはり1クールでそこまで求めるのは酷かも知れませんね。
厳しいことを言うと、千草と胡桃の存在価値は物語の本筋から見て、
やや低かったようにも思えます。
母親を出しても良かったかな、とも。
☆作画☆
人物に関しては若干引き目の画で怪しいところがあったものの、概ね満足。
背景は普段の画はそこまで並外れているとは感じませんでしたが、
長崎の風景、夜景の美しさ、
花火や魔法を使った場面での色使いなど、
ここぞという場面では美しく、拘りが見えて良かったです。
☆音楽☆
作画の評価が高いようですが、自分がこの作品で一番良いと思ったのが音楽ですね。
控えめで落ち着いた音使いながらも印象的で、
アコースティックへの拘りと、魔法ファンタジーな世界観にピッタリのBGMは、
どっかで絶対聴いた事がある...と思いましたがクレジット見て納得。
「ふらいんぐうぃっち」を担当された方だったんですね~どうりで。
でもこの作品こんなに音楽素晴らしいのにサントラが出てないっぽいのが不思議。。
これから出るんでしょうかね!?
OPはイントロからインパクトあり、キャラが駆け出す如何にも青春な楽曲で相性も良かったです。
そして、やはりEDのやなぎなぎさんの安定感はほんと期待を裏切らないですね。
挿入曲なんかにしてもそうですが、作品の内容をしっかり理解してから作ってなければ、
絶対ここまでの詞と曲は書けないはずだと思います。
アニソンを作るということに関しての真摯な取り組み、真面目さが本当に伝わってきますね。