えりりん908 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
正義の在り処と人の情けのこと
見ごたえのある作品でした。特に前半は。
戦国時代を舞台にしたダークファンタジー。
前半は沈鬱な展開が続きます。
とくに、生きる力のない子供たちの描かれ方、可哀想でした。
どろろだって、明るく振舞ってはいるけど、悲しい別れの末に泥棒みたいな生き方をするしか生きる手立てがない訳だし。
主人公の百鬼丸は、鬼神に取られた自分の身体の、皮膚や聴覚や手足や眼を取り返そうとしてるだけで、間違ったことはしていない筈なのに、
自分の身体を鬼神に奪われたのが、領主である父親が鬼神と取り引きをした結果なんで、
自分の身体を取り戻していくと、領地に飢饉や疫病が起こり、皆が不幸になるという定めを背負わされていて救いがないです。
それなら、鬼神とそんな取り引きをした父親が悪い、って思うけど、父親は父親なりに、領土と領民のためにしていることでもあるから、全面的には悪行とは決め付けられないのかも知れません。
ホントなら、百鬼丸の誕生をなかったことにして川に流したりしないで、
ちゃんと、全部の器官を失って生まれた自分の子を、愛して育んであげればよかったのに、
母親のお妃様も、観音像を拝んで供養だか謝罪だかをただ毎日繰り返すぐらいなら、
悲惨な生まれ方を強いられた我が子を、断固として手放したりしなきゃよかったのに。
と、思ったりもしました。
出て来る人が可哀想過ぎるかと思えば、
一方で、妖怪と人との間でも理解しあい、愛し合えれば、百鬼丸の心眼にも悪鬼を示す赤色に映らなくなるのは、いいなと思いました。
後半に入って、活劇っぽくなり、
百鬼丸が、人の身体を取り戻すほど、人の心を失って鬼神に化けてしまうかもしれないっていう展開は、
なんだか無理やりすぎるかな。
メインキャストがみんな集合して燃え盛る城での大立ち回りも、ちょっとアクション演出に走りすぎかな。
なんだかストーリーが性急になりすぎて、ちょっと面白くなくなってしまったかもって感じていました。
最後に、百鬼丸がなんでどろろと別れて
一人で流浪の旅を続けなければいけなかったのかも、
よく解りませんでした。
音楽は独特で、琵琶とか尺八とか和笛とか琴とかで
終始古い日本の雰囲気をかもし出していて、
これは凄くカッコよかったと、思います。