STONE さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
人間的成長のためのタイムリープ
魔法などの非現実的要素がある青春もので、更に魔法の内容からタイムリープ要素もある作品。
主として描きたいのは主役の月白 瞳美を始めとする少年少女の成長と、それに伴う悩みの
克服で、この辺は青春ものがお得意のP.A.WORKSの強さを遺憾なく発揮している感じ。
ただ、逆に魔法のよるファンタジー、タイムリープのSF的部分に着目して観ちゃうと
肩すかし感があるかも。
特に他のタイムリープ作品にあるような未来を知ることで不幸を回避するような要素は皆無。
複数の男女が登場することでそれなりの恋愛模様も描かれるが、この辺もP.A.WORKSお得意の
多角関係要素あり。
最終的に互いに好意を伝えることができたメイン格の月白 瞳美と葵 唯翔だが、時空を超えて
結ばれるといったこともなく、瞳美は元の時代に帰っていく。
恋愛ものとして捉えるとハッピーエンドとは言い難い締めだが、成長譚メインの作品として
考えると「この結末で正解」という気がする。ほろ苦くもどこか爽やかさを感じる終わり方は
「この締め方ならでは」という感じ。
他に風野 あさぎが山吹 将に好意を寄せていたり、川合 胡桃と深澤 千草が仲の良いところを
見せるが特に何もないまま。作品で描写された部分以降では何かあったかもしれないけど。
恋愛部分に関してはメタ的な見方をしてしまうと、瞳美役の石原 夏織、あさぎ役の
市ノ瀬 加那、胡桃役の東山 奈央はどうも負けヒロインの印象が強い。統計を
取ったわけじゃないから、あくまで印象だけど。
そんなわけで本作も「この後も特に何もないままかな」と思ったり。
瞳美を始めとする各キャラが成長していく過程などはなかなか良かったが、中心となる7人の
男女を描ききるには尺不足の感もある。
そのためか各問題が割とあっさり解決しちゃう印象があったり、もっと各キャラの掘り下げが
足りなかった感もある。
背景作画などは本当に素晴らしく、作品の舞台である長崎の魅力がよく描かれていたように
思える。
正直、P.A.WORKSに関して、最近はストーリー展開に首を傾げたくなるような作品も
多いのだが、特定の地域を舞台にして、その地を魅力的に描くという点は今でも長けている感が
ある。
2019/01/08
2022/08/14 加筆・修正