明日は明日の風 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
母子の話と人の一生の物語…PAと岡田磨里のタッグによる美しい映画
見に行きたいな…と思っているうちに公開が終わってしまい、レンタルで視聴。行けるときに行かないとダメだな、と後悔しました。
岡田マリーは本人も認める「ひねくれた」性格。これまで彼女の作品をたくさん見てきましたが、これほど素直な物語ははじめてかもしれません。マリーの特徴は、大筋・終着点は実は分かりやすい。が、そこにたどり着くまで登場人物たちの関係や心情を複雑にしてしまいがちです。そこが当たれば面白く感じ、逆に邪魔になったらスカンになってしまいます(個人的に)。前者で言えば「とらドラ」「truetears」「花いろ」「あのはな」「凪あす」「ひそまそ」で、後者は「迷家」「オルフェンズ」といったところ。というか、自分はマリー作品、けっこうお気に入り多いので、どこかひねくれているのかもしれません…。
そのマリーが監督もしてしまったこの作品。実に「素直」な作品だったなというのが感想です。{netabare}母と子の愛情とすれ違いを血の繋がらないマキアとエリアル、血の繋がったレイリアとメドメルの2組の母子で見せ、マキアがエリアルの最後を看取ることで人の一生を見せます。{/netabare}
この話を軸に、中世ヨーロッパ舞台のファンタジーっぽい要素を取り入れ、人と人の繋がりや、人の成長といったものを盛り込みながら結末に向かっていきます。ひねくれた要素はまるでなし。マリーっぽいなというのが、冒頭で物語の根幹を何気に伝えているところ。マキアと長老の会話がこの作品の全体像なんだろうなというところです。
作画はPAですから、綺麗なのは当たり前。とはいえ、この絵でなければ伝わり方が半減したんじゃないかというほど、物語にぴったりだったと思います。さすがとしか言いようがありません。中の人はベテランから期待の若手まで、それぞれの役に合ったものでした。最近、アニメ映画はどっかに俳優を使いたがりですが、それもなく、いかにもアニメ見ているなというのが良かった気がします。俳優でも合っていれば問題ないのですが、なかなかそうならないのが現状だと思っています。
人生もの、親子のもが好きだという人におすすめです。